ドラッグストアとどっちが安いかなぁ・・・。

現在、衆議院を通過し、参議院で審議中の法案の中で・・・お薬の代金にかかわる法案があります。って、もうそろそろ参議院も通過するんじゃないかなぁ・・・。お薬の代金のお話って、だいぶ前だけど、このブログでも取り上げたジェネリック医薬品があるお薬に対する先行医薬品に対する値上げ(ほんとは保険適用を一部外すだけで、値上げではないのだけど・・・)の話じゃないの?っと思うかもしれませんが、ちょっと違っちゃったりします。前回のブログの内容のお話は先行医薬品に拘らなければ、お薬代の値上げは避けられたのですが、今回の改定に関しては避けようがない状況となっています。それがどのような中身なのかを書いていきたいのですが、その前に前回のジェネリック医薬品に関するブログのリンクを貼っておきますね。興味のある方は覗いてみてくださいませ。
過去ブログ『あれ?お薬代があがってる?』
っと、過去ブログの宣伝も終了したところで、今回のお薬の値上げ(薬価自体が上がる訳ではないですが、負担増ですので、値上げと言っちゃいます。)がどのようなものなのかを見ていきたいと思います。まぁ、実際にどれくらい負担額が上がるものなのか?どうするべきなのかなどを考えていこうかなぁと思います。
①どうしてお薬が値上がりするの?
②どのようなお薬が値上がりするの?
③どれくらい値上がりするの?
④気を付ける点はないの?
⑤今後、どうなるんだろ?
①どうしてお薬が値上がりするの?
このお薬代の値上げ(実際の薬価が上がる訳ではないですが、窓口負担が上がります。)ですが、どのようなお薬の窓口負担が上昇するかと言うと・・・OTC類似薬と言われる、保険医療ではなく、一般のドラッグストアでも同成分・同効果・同投与経路(内服・外用など)のお薬が手に入るお薬の薬価の一部を『特別の料金』として保険診療から外れる事によるものです。
どの程度の金額になりそうかは後述するとして、その趣旨としては、厚生労働省のホームページに次のような説明があります。

(1)OTC類似薬の保険給付の見直し
OTC類似薬の保険給付の見直しの趣旨は、OTC医薬品で対応できる症状であるにもかかわらず、他の被保険者の保険料にも負担をかけて医療用医薬品の給付を受ける患者と、現役世代を中心とした、平日の診療時間中に受診することが困難である等の理由によりOTC医薬品で対応している患者との公平性を確保する観点や、それら現役世代の保険料負担の軽減を図る観点から、一定程度の見直しが必要であることによるものである。
厚生労働省『OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について』より
この説明によると保険診療によるOTC類似薬の給付においては・・・OTC類似薬(ドラッグストアで手に入る医薬品)であるにも関わらず、保険診療として医療用医薬品の給付を受けると、非常に安価で医薬品を手に入れる事ができ、働き盛りの現役世代は平日の昼間に病院に行く暇なんてないので、泣く泣くドラッグストアで(高い)OTC医薬品を買っているのに不公平ではないか、という話と、その安い医薬品は7割(年齢によっては8割・9割もあり)を保険者(協会けんぽ等)が払っており、その分、現役世代の保険料負担が掛かっているので、その軽減の為にちょっと負担を多めにするよ?という趣旨ではないかと思われます。
保険料負担の話も出ていますので、膨張する医療費負担の軽減も視野に入っており、政府試算では900億円の削減が見込めるとのことです。それに加え、軽症患者による窓口混雑の解消や医療機関の外来負担の軽減、OTC医薬品の普及促進等も狙いがあるような感じです。
②どのようなお薬が値上がりするの?
さて、なんとなーく、保険診療における医療用医薬品が値上がりしそうなのは分かるのですが、ここで出てくる『OTC類似薬』ってどんな成分なのでしょうか?
これが分からないと、どのお薬が値上がりして、どのお薬が値上がりしないのか・・・わかんない状態になってしまいます。政府発表における成分候補一覧案(←リンクがあります。)がありますが、お薬に対して詳しくない私には何がなんだか(不勉強ですみません💦)・・・と言う感じです。政府発表によると77成分、1100品目となっており、その効用としては・・・『鼻炎(内服・点鼻)、腰痛・肩こり、胃痛・胸やけ、水虫、便秘、殺菌・消毒、解熱、痛み止め、口内炎、風邪症状全般、おでき・ふきでもの、皮膚のかゆみ・乾燥肌等』となっています。上の成分候補一覧案のリンクにどのような用途なのかは書いてありますので、興味がある方は上記リンクもしくは、最後にもリンクを貼っていますので、そちらからご確認になってくださいね。
むぅ、なんか・・・病院でよく貰う薬が多い気がするなあ。これは結構な確率で『特別の料金』を払う事になりそうです・・・。
これらの特別の料金がかかる77成分1100品目のお薬ですが、その特別の料金はどの様な感じで掛かっていくのでしょうか?次で見てみたいと思います。
③どれくらい値上がりするの?
この特別の料金の仕組みですが、すこーしだけ、ジェネリック医薬品がある先行医薬品にかかる選定療養費の仕組みと似ています。まぁ、先行医薬品の場合は、ジェネリックとの差額に25%を掛けたものを加算する形でしたが、今回は下の図の様に差額ではなく、薬価の25%が『特別の料金』として、保険診療には含まれず(100%自己負担)、残りの75%が保険診療として自己負担3割(年齢等により2割・1割)負担となる仕組みとなっています。

厚生労働省『OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について』より
図解はあるものの、ちょっとわかりにくいので、薬価1000円の医療用医薬品における例を考えてみると・・・次の様になります。『特別の料金』に関しての消費税はまだ不明ではあるものの、保険外の部分においては消費税がかかるのが通常ですので、消費税も考えちゃいますね。

・今まで(3割負担の場合)
薬価1000円 × 3割負担 = 300円
お薬代(窓口負担) = 300円
・改定後
薬価1000円 × 25%(特別の料金) = 250円
250円 × 10%(消費税) = 25円
750円(薬価-特別の料金) × 3割負担 = 225円
お薬代(窓口負担) = 250円 + 25円 + 225円 =500円
となります。今までは1000円の薬価であるお薬を処方していただいた場合、3割負担の300円の自己負担で良かったものが、『特別の料金』が加算される事により、500円(5割負担)となってしまうのですね。
しかも、厄介なことに・・・2割負担(小学校就学前、70歳~74歳の高所得じゃない方や75歳以上の一定の範囲の所得の方)、1割負担(75歳以上の一定所得以下の方)の方の方が負担増加率が大きくなることになります(ただ、子どもには配慮するとの事ですので、小学校就学前のお子様には何かしらの配慮がある事が想像されます。)。
で、その負担増加率ですが、各自己負担率に対する表を作ってみました。先ほどの例題と同じ、1000円の薬価の場合で考えて見ます。
| 負担割合 | 薬価 | 現状 | 適用後 | 負担増加率 |
| 3割 | 1000円 | 300円 | 500円 | 1.6倍 |
| 2割 | 200円 | 425円 | 2.125倍 | |
| 1割 | 100円 | 350円 | 3.5倍 |
こんな感じで、現役時代は1.6倍の薬価負担増となるのですが、特に高齢者世代(70歳以上の方)が多いと思われる、2割負担の場合は2倍強、1割負担の場合は・・・何と3.5倍!の負担増となってしまいます。うーん、年を取ると病院のお世話にも、お薬のお世話にもなる事が多いと思いますし、収入が年金だけとなる方も多いと思いますので、かなり厳しい負担増となっちゃう感じがしますね。
④気を付ける点はないの?
と・・・処方箋を頂いて、医療用医薬品として処方していただくお薬の値上げ(正確には値上げではありませんが負担増)ですが・・・注意点とか例外等はないのでしょうか?
あったりします。
まずは、この『特別の料金』の徴収においては特別の配慮を行うとされている方がいらっしゃるのですが、やはり困窮されている方や小さなお子様などに例外が適用されないと困りますよね。そこで・・・『こども、がん患者や難病患者など配慮が必要な慢性疾患を抱えている方、低所得者、入院患者、医師が対象医療品の長期使用等が医療上必要と考えた場合等に対する配慮を検討する。』と自民党と日本維新の会の政調会長合意ではなっています。
まだ、具体的にはどの様な方がどのように配慮をされるのかがはっきりとしませんが、お子様、がん患者等の長期療養が必要な方、低所得者(住民税非課税ぐらいの方かな?)、入院患者の方は『特別の料金』が0になるかはわかりませんが、配慮される事になりそうです。ただ、分からないのはお医者さんが認めた場合で・・・この判断基準はどうなるのかな?
などなど・・・まだはっきりしてない事も多い状況じゃないかと思います。
次に、この『特別の料金』制度は先発医薬品でもジェネリック医薬品でも・・・どちらも25%が保険適用外となり、負担増が起こるという事です。今回のブログの話題の中にジェネリック医薬品がある先行医薬品の話題を出したので、今回のお話もジェネリック医薬品は免除されるのではないかと思われた方、ごめんなさい💦
これにおいては同一成分・同一効用・同一投与経路(内服・外用など)のOTC医薬品(ドラッグストア等で手に入る医薬品)があるお薬の中から選定されていますので、先行医薬品、ジェネリック医薬品関係なく、適用されちゃいます。ジェネリック医薬品を選んだからと言って・・・逃れる事は出来ないのですね><;
最後に、値上がりするのであれば、市販薬の方が購入楽だし、ドラッグストアに行った方がいいのでは?という疑問が浮かびます。しかしながら、現在の医療用医薬品は市販薬と比べ、非常に安価で、お薬によって大きなばらつきがあるのですが、現状においては市販薬は医療用医薬品の3倍~20倍程度のお値段で売られています(一部例外も考えられますが・・・。)ですので、薬価のみを見てみると・・・この制度が適用された後においても、負担額が上がるものの、病院で処方していただいた方が安くなりそうな感がします。
ただ、処方してもらうためにはお医者様に診察してもらう必要がある事を考えると、その診察時間や待ち時間、そして、診察費用も合わせて考える必要がありそうですね。まぁ、診察を受けたらお医者さんの判断の上で処方箋を出していただけますので、安心してお薬を買うことができるという事を考えると・・・ドラッグストアか病院か・・・悩ましい判断になりそうです。
まぁ、ルーティン化しているお薬の場合、ドラッグストア、判断に迷う場合はお医者様の所に行って、処方箋を出してもらう・・・と言う風に分けた方がいいかもしれませんね。
⑤今後、どうなるんだろ?
さて、今回の医療用医薬品に対する『特別の料金』ですが、来年中に施行するという事になっています。確定ではないと思うのですが、一部報道においては来年の3月から適用することを想定しているとの報道もあります。正確な時期は読めませんが、もう少し議論が詰められたら、施行時期も見えてくるのではないでしょうか。
と、来年の施行まではほぼ確定事項と思っていいのではないかと思うのですが、自民党と日本維新の会の政調会長合意に気になる文章があります。それは・・・『令和9年度以降にその対象範囲を拡大していく。あわせて、特別の料金を頂く薬剤費の割合の引き上げについても検討する。』というものです。今回の改定においては、ほとんどのお薬がドラッグストアではなく、保険診療として購入した方が安い状況になるのではないかと思いますが、今後、お薬の範囲が広がる上にドラッグストアで買った方が安い時代が来るのかもしれません・・・。うーむ、そうなると・・・と言うか今回の改定においてもですが、お医者様への受診控え、それが引き起こす症状の悪化など・・・悪い方向に進む危険性がありますので、今後、医療用医薬品のお値段が上がったからと言って、自分で判断するのではなく、少なくとも症状が出た初回に関してはちゃんとお医者様に診察していただいて、適切なお薬を出していただき、今後、市販薬を使うのであれば何がいいか、もしくは、また受診しに来た方がいいのか?を確認した方がいいと思いますね。
でも、この『特別の料金』の範囲拡大、金額割合の増加があった場合、町のクリニックさんや調剤薬局さんって、成り立っていくのかなぁ・・・。ちょっと心配になっちゃいます。
と、最後はイラン心配をしたところで、今回のお話と関係ありそうなリンクとジェネリック医薬品がある先発医薬品の選定療養について書いた過去ブログのリンクを置いておきますね。特に成分表とかはご自身と関係あるのかどうか・・・確認した方が良いのではないかと思います。
厚生労働省『OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について』
厚生労働省『特別料金の対象となる医薬品の成分一覧(案)』
過去ブログ『あれ?お薬代があがってる?』
今回も乱筆乱文、失礼しましたっ。
