新たな助成金が始まっています②

 さて、前回からの続きで・・・今回は『育休中等業務代替支援コース』について書いていきたいと思います。このコースは育児休暇等を取った場合・・・周りの人に何らかのしわ寄せがくると思います。そのしわ寄せが来る人に手当等を出した場合に助成金が支給される制度となっています。育児休業等を取る場合において、取得した本人においては『周りの人に迷惑をかけて悪いな・・・』という気持ち、周りの人においては『育児休業取られたら、仕事が忙しくなるっ、給料変らんのに!』・・・といった気持ちが出るのはそこまで不自然ではないと思います(えっ?私だけ・・・?)。これがひどくなると、同僚からのマタハラ・パタハラにも発展しかねません。そこで、手当等が支払われたら、その負の感情が緩和され、気持ちよく育児休業等を取得でき、また、送り出すことができる・・・とまでは言いませんが、緩和の一助になるのではないでしょうか。
 という事で、今回は手当に対する助成金のコースとなります。

①育休中等業務代替支援コースってどんなの?
②育児休業時手当支給等助成金の要件とは?
③短時間勤務時手当支給等助成金の要件とは?
④育児休業時新規雇用助成金の要件とは?
⑤申請書の提出期限は?

①育休中等業務代替支援コースってどんなの?

 このコースは育児休業などを行う時、引継ぎなどをしっかりと行ったとしても、どうしても周りの人の業務量が増え、ご苦労をかけることになります。出産自体は喜ばしい事ですが、それがフォローする人の不満となり、育児休業の取りづらさにも繋がっていきます。そこで、育児休業等を行い、そのフォローをする人に手当を出した場合、もしくは代替要員を雇用した場合に助成金を支給するコースが今年1月から新設されました。また、このコースにおいては出生時両立支援コース(第1種)、育児休業等支援コース(育児休業取得時)と併用できますので、セットで考えると育児休業に対する費用が緩和され、働く人の不満解消に役立つと思われます。このコースにおいては他のコースと同様に中小企業のみが対象となっていますので、注意してくださいね。
 ちなみに支給金額としては下の表の通りとなっています。

                          厚生労働省『2024(令和6年)年度両立支援等助成金のご案内』より

 育児休業における手当支給は業務体制整備経費として5万円(育児休業1か月未満だと2万円)、手当支給に対しては支給総額の3/4(プラチナくるみんに認定されている場合は4/5、上限10万円・12か月間まで)、短時間勤務における手当支給は業務体制整備経費として2万円、手当支給に対して支給総額の3/4(プラチナくるみんに認定されている場合は4/5、上限3万円まで・子どもが3歳になるまで)、育児休業に対する新規雇用における支給額は9万円~67万5千円まで期間に応じて支給されます。また、有期労働者が対象の場合は加算があり、10万円が加算されます。
 この助成金支給は年間10人まで支給されますので、それなりの規模の中小企業においてもフルフル活用できるのではないかと思います。
 では、それぞれの支給要件を見ていきたいと思います。

②育児休業時手当支給等助成金の要件とは?

 では、育児休業時手当支給等の要件はどのようになっているのでしょうか?これは育児休業取得時には、どうしてもその人が行っていた業務を誰かが代替で行う必要があります(そうしないと全体として仕事が滞る・・・)。その代替業務を行う人に手当を支給した場合に支給される助成金となっており・・・

・代替業務の見直し・効率化への取組の実施
・業務を代替する従業員さんへの手当制度を就業規則等に規定
・対象従業員さんが7日以上の育児休業を取得し、助成金支給まで原則として原職にて継続勤務
・業務を代替する従業員さんに手当等を支給(この3/4ないし4/5が助成金額となります。)

 注意点としては、従業規則等で『育児・介護休業法による』と法律に委任した規定では、この条件を満たしているとは言えず、ちゃんと規定することが必要になります。また、この就業規則等は育児休業取得前日までに整備する必要があります。これに加え、就業規則等には原則として原職にて復帰させる旨の規定も必要となります。代替業務に対応した手当においても就業規則の賃金規定で規定する必要があり、この規定においては労働時間に対応した手当ではなく、その職務内容・業務内容を評価して策定する必要があります。この金額としては総額で1万円(1か月未満の場合は1日当たり500円と比較してどちらか低い方)以上でなければなりません。
 また、7日以上の育児休業が必要ですが、育児休業の前後が休日の場合は2日まではその7日間に含めても大丈夫となっており、最低3日以上の所定労働日がある必要があります。
 これ以外にも注意点とか多いのですが、主な要件は上記の通りとなります。詳しくは最後に厚労省のHPのリンクを貼っておりますので、そちらをご覧になってください。

③短時間勤務時手当支給等助成金の要件とは?

 子育て期は保育園への送り迎えなど、何かと時間を取られるものです。そうなるとフルタイムで働くことは難しく、1日6時間などの時短勤務を行い、送り迎えなどを行うことになります。この場合においても、時間短縮勤務でははみ出してしまう業務というのは周りでカバーすることになると思います。そのカバーに対する手当を支給した場合、この助成金の対象となります。
 その主な要件としては・・・

・代替業務の見直し・効率化の取組の実施
・業務を代替する従業員さんへの手当制度を従業規則等に規定
・対象の従業員さんが育児の為の時間短縮業務を1か月以上利用し、支給申請日まで継続雇用
・業務を代替する従業員さんへの手当等の支給(支給金額の3/4もしくは4/5が助成金額で
 す。)

 時短勤務代替手当の助成金ですが、日数などが若干違いますが、ほぼ育児休業代替手当の助成金と同様の支給要件となります。ただ、これは育児休業代替手当も同様なのですが、業務の見直し・効率化においては『業務の一部休止』、『手順・工程の見直し』、『マニュアル等の作成』などの業務改善・効率化を検討し、『両立支援等助成金実施結果書』にまとめる必要があります。
 また、賃金規定にける業務代替者の賃金においては月総額3000円(1か月に満たない場合は1日に付き150円以上のどちらか低い方)以上が増額されている必要があります。
 この助成金については時短勤務が確認できる証拠が必要となりますので、出勤簿においてハンコを押しただけのものなどは支給対象外であり、タイムカードや出退勤記録簿などの時間が確認できるもので管理する必要があります。
 こちらも細かい規定はまだまだありますので、導入を考えられている場合は、一番下の厚労省のHPで確認することをお勧めします。

④育児休業時新規雇用助成金の要件とは?

 これは従業員さんの育児休業期間に代わりに人を雇った、もしくは派遣により確保した場合に支給される助成金です。まぁ、その期間だけ雇い入れするのはその雇い入れする人とよほど条件が合わないと難しいかもしれませんが、派遣の場合はかなりあり得るのではないかと思います。
 その主な支給要件としては・・・

・育児休業を取得する従業員さんの代替要員として雇い入れ、もしくは派遣で確保する事
・対象の従業員さんが7日以上の育児休業を取得し、復帰後も申請時まで原則、原職で雇用されている事
・代替要員が育児休業中に業務を代替する事

となっています。
 育児休養の日数の考え方としては、前後にお休みがある場合は、2日まで育児休業に加えても構わないとなっています。
 代替要員においてはその代替業務が資格を要する場合は、要資格者でなくてはならないとなっており、手当等も同様に付ける必要(資格手当など)がありますので注意です。また、要資格者をその育児休業者の業務につかせ、その穴に代替要員を配置する(玉突き的に)場合は支給要件を満たしますが、同様の業務が他の部署にあり、ただ、そこに要員を配置しただけでは要件は満たしません。ただ、育児休業した従業員さんが在宅勤務をしていたり、その業務を他部署へ移管した場合は、同一の部署でなくても大丈夫です。
 ちなみに詳しい支給金額としては・・・

7日~13日14日~1か月未満1か月~3か月未満3か月~6か月未満6か月以上
支給額9万円13万5千円27万円45万円67万5千円
プラチナくるみん11万円16万5千円33万円55万円82万5千円

となっています。
 また、これらの助成金においても育児休業に関する情報公表加算がついており、『両立支援の広場』の『一般事業主行動計画サイト』で支給申請日までに一定の情報を記載し、公表すると2万円の助成金を受ける事ができます。

⑤申請書の提出期限は?

 この育休等業務代替支援コースはそれぞれにおいて若干申請書の提出期限が違いますので、注意が必要です。
 具体的には・・・

・育児休業手当支給等助成金の場合
1か月以上の育児休業の場合・・・育児休業期間の最終日の翌日起算で3か月を経過した日から2か月以内
1か月未満の育児休業の場合・・・育児休業期間の最終日の翌日から2か月以内

・時短勤務手当支給等助成金
1年を超える場合・・・制度利用期間の初日から起算し、1年を経過する日の翌日から2か月以内(1
           年を超える場合は2年経過する日の翌日から2か月以内、3年目も同様で
           す。)
子どもが3歳を迎える場合・・・3歳を迎えた日を含む月の最終日の翌日から2か月以内
1年以内の場合・・・制度利用の最終日の翌日から2か月以内

・育児休業新規雇用助成金
1か月以上の場合・・・育児休業最終日の翌日起算で3か月経過する日の翌日から2か月以内
1か月未満の場合・・・育児休業最終日の翌日から2か月以内

・有期雇用労働者加算
上記助成金申請と同時に申請

・情報公開加算
条件を満たした場合、上記助成金と同時に申請

となっています。育児休暇期間、時短勤務時間の長短によって、申請時期が変わりますので、注意しないと・・・せっかく助成金に合わせて制度を設計・実行したのに助成金が貰えないという事になっちゃいますので、注意です。

 さて、今回は今年1月に新設された育休中業務代替支援コースついて書いてまいりました。やはりこのコースにおいても一般事業主行動計画に始まり、就業規則の策定、様々な書類の提出・・・とかなりめんどくさい作業になるのですが、このコースは育児休業を取る人、はたまたフォローする人・・・両方の為になり、職場環境を確実に良くしてくれるものだと思います。苦労はあると思うのですが、しっかりと活用し、育児休業が取りやすく、働きやすい職場を目指し、人手不足の中ですので、従業員さんの定着率アップを目指して欲しいと思います。

最後に厚生労働省の特設ページを貼っておきますね。って、前回と同じリンク先ですが・・・
厚生労働省HP・・・子ども・子育て 事業主の方へ助成金給付のごあんない』

今回も乱筆乱文、失礼しましたっ。