あれ?佐賀県が上昇幅No1だ・・・。

さて、この夏から秋へと景色を変えていく季節・・・私達社会保険労務士の関心を集める発表があります。過去2回、このブログで取り上げている年中行事なのですが・・・そうっ!!『地域別最低賃金』の発表の時期となっています。
さてさて、去年はちょー大幅な上昇となったのですが、今年はどの様になったのでしょうか?まぁ、前々回のブログ『毎年確認が必要ですよね。』で中央最低賃金審議会における引き上げ額の目安を書いちゃっているので、なんとなーく金額の予測はできるのですが・・・どうなったのか確認していきたいと思います。
まぁ、金額等若干違うだけで、話の流れ的には去年と同じようになると思いますが・・・毎年の恒例ブログだと思ってください。
①中央最低賃金審議会における目安はいくら?
②最終的には全国的にどの程度の上昇になるの?
③佐賀県の地域別最低賃金はいくらになったのだろ?
④九州圏内での位置づけは?
⑤最低賃金上昇に使える助成金とか無いの?
おっと・・・本題に入る前に、去年、一昨年の地域別最低賃金のブログを貼っておきますね。過去がどんな感じだったか興味がある方はご覧になってもいいと思います。
去年の地域別最低賃金ブログ『今年も結構上がるなぁ・・・。』
一昨年の地域別最低賃金ブログ『10月からですのでお忘れなきよう・・・。』
①中央最低賃金審議会における目安はいくら?
さて、各県の地域別最低賃金の答申のお話に入る前に、全国的な最低賃金の目安はどの様になったかを見てみましょう。中央最低賃金審議会では、全国の都道府県をA地域、B地域、C地域と3つに分け、それぞれにおける最低賃金の目安を出すようにしています。その地域はどの様になっているかと言うと・・・

厚生労働省『令和8年度地域別最低賃金の目安について』より
こんな感じになっています。おっと・・・すでに目安額も出ていますね。
まぁ、都会がA地域、田舎になるほどB・C地域となっていく感じでしょうか。でもって、数字も出てしまっていますが、A地域が54円、B地域・C地域が56円の上昇が目安となっています。
令和7年度の上昇目安額がA地域・B地域が63円、C地域が64円でしたので、令和8年度も高水準とは言え、すこーし落ち着いた感じでしょうか。
まぁ、この数字でも分かるように、当初政府が掲げていた2020年台に最低賃金1500円という考え方は少し後退して、最近の目標としては2030年代前半に1500円到達となっています。急激な賃上げは・・・特に中小企業さんの運営を圧迫しますので、決して後退はしてはいけませんが、巡航速度を守った最低賃金上昇が望ましいですね。
この目安額を基に令和8年度の地域別最低賃金がどのくらいになるかと言うと・・・1176円ぐらいに落ち着く感じでしょうか。ほんとにそこに落ち着くかどうかは、各県の答申次第・・・という事ですね。
という事で、基本的にはこの基準が出た後に各県の最低賃金審議会の審議に入り、その結果がその県の地域別最低賃金となるのですが、どのような結果となったのでしょう?次で見て行きたいと思います。
②最終的には全国的にどの程度の上昇になるの?
さて、①では全国的な目安の数値を見てきたのですが、この数値通りの上昇で各県の答申が返ってくるとは限りません。令和7年度はこの目安よりも大幅に地域別最低賃金を上昇させた県も散見されたような気がします。それにより、目安よりもかなり高めの地域別最低賃金になっちゃった感じがするような・・・。
さてさて、令和8年度はどの様な感じになったかと言うと・・・。
全国の加重平均における地域別最低賃金の額は1177円となりました。これは令和7年度から比べると56円の上昇となっています。目安額と比べると1円高い金額になったのですね。まぁ、この調子で上がっていけば・・・・後5年後ぐらいには1500円超えちゃうことになりそうですね。私の若い頃の時給はいくらだったかしら?・・・考えるとすごい上昇です。
で、目安額より1円上がったという事は・・・目安額よりも高く答申を出してきた県が結構あったという事で、どのあたりの地域が高めの答申を出してきたかと言うと・・・東北地方、中国地方、四国地方、九州地方が目安額よりも高めの上昇幅を出している感じでしょうか。特に東北地方はすべての県で3円から5円上乗せした答申となっていますので、結構頑張ってる・・・と言うか、近隣の県に負けないという強い意志を感じる結果となっています。九州は後ほど書いていくとして、中国地方は鳥取の+4円、四国地方では高知の+6円と言うのが目立っていますね。なんとなーく、薄目でぼんやり眺めたら・・・田舎の地方ほど、がんばって最低賃金を上げている感じに見えますね。
そして、令和7年度は発効日が翌年3月末という県もありましたが、令和8年度の発効日はどの様に予定されているかと言うと・・・早い県で10月1日、遅い県で12月2日となっています。10月1日発効の県は結構あるので割愛しますが、12月に入ってからの発効となっているのは岩手・熊本(12月1日)、沖縄(12月2日)の3県のみとなっています。やはり・・・令和7年度の翌年3月末の発効は遅すぎたと、反省した県が多かったのかもしれませんね。
皆様のお住いのもしくは事業所のある県の発効日が何月何日なのか・・・しっかりと把握して時給を上げ忘れないようにしないといけませんね。
③佐賀県の地域別最低賃金はいくらになったのだろ?
で・・・我らが佐賀県なのですが、令和8年度の最低賃金額はどの様になったのでしょうか?
金額で言うと・・・1095円、上昇幅では・・・なんと65円(目安額+9円)!?の上昇となっています。えーと・・・目安額+9円なんて出している県は他にないんですけど・・・。がんばったなぁという感想と、これで大丈夫かよ?という感想が半々な感じです。確かに佐賀県は福岡県と隣接しており(私が住む鳥栖なんて・・・すぐそこに久留米、小郡がありますし・・・。)、あんまり最低賃金が安いと労働力が福岡に取られちゃうという懸念があります。それに、令和7年度においては他の九州の県よりも若干伸び率が悪かったという事もあります。ですが・・・ちょっと頑張りすぎな気がしないでもない数値ですね。
その佐賀県の地域別最低賃金の推移はどうなっているのかというと・・・。
| 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | 令和8年度 | |
| 最低賃金額 | 853円 | 900円 | 956円 | 1030円 | 1095円 |
| 上昇幅 | +32円 | +47円 | +56円 | +74円 | +65円 |
| 上昇率 | +3.90% | +5.51% | +6.22% | +7.74% | +6.31% |
となっています。過去5年間に関してはしっかりと佐賀県の最低賃金は上がっている事が分かりますね。まぁ、コロナ禍時の2020年は2円の上昇という時もありましたが、それ以降は順調に最低賃金が上がってきている感じです。消費者物価指数も3.2%(2025年)に上がっている昨今ですので、事業を営む方には苦しい上昇率ではありますが、妥当なラインかも・・・とも思えます。ただ、この上昇率だけを見れば、多少のインフレが来ても、若干生活は楽になるのかなぁとも思えます(あくまでも、地域別最低賃金のみを見た場合ですけどね💦)。
ちなみに佐賀県の地域別最低賃金の発効日は11月15日となっていますので、従業員さんのお給料をチェックして、この日までには必ず最低賃金を超えるように賃上げしなくちゃいけませんね。
④九州圏内での位置づけは?
では、佐賀県も含め、九州各県の地域別最低賃金はどうなったのでしょうか?
下の表の様になっちゃっています。
| 県名 | 福岡県 | 佐賀県 | 長崎県 | 熊本県 |
| 最低賃金額 | 1114円 | 1095円 | 1087円 | 1092円 |
| 上昇幅 | +57円 | +65円 | +56円 | +58円 |
| 上昇率 | +5.39% | +6.31% | +5.43% | +5.61% |
| 県名 | 大分県 | 宮崎県 | 鹿児島県 | 沖縄県 |
| 最低賃金額 | 1096円 | 1085円 | 1090円 | 1086円 |
| 上昇幅 | +61円 | +62円 | +64円 | +63円 |
| 上昇率 | +5.89% | +5.14% | +6.24% | +6.16% |
この中で目安額を大きく超えた県としては・・・佐賀県(+9円)、鹿児島県(+8円)、沖縄県(+7円)、宮崎県(+6円)、大分県(+5円)となっています。福岡県、長崎県、熊本県は目安額+0円~+2円の上昇幅となっており、小幅な上昇幅に留まりましたが、九州全体を見てみると、目安幅よりも大きく上昇している感じでしょうか。なんか意外だったのは、熊本県が目安幅+2円と小幅な伸びに留まった事でしょうか。ここ最近の半導体関連会社の誘致で沸騰しているイメージがある為、最低賃金もさぞかし上がっているのかなぁって思ってたら、そうでもなかったという感じですね。まぁ、これはあくまでも最低賃金は最低の賃金・・・という事で、会社誘致で沸騰している菊陽・大津あたりの求人広告を見たら、また別の感想が出るかもですね。これは、今度、地獄の石段登りをした後にでも、熊本の求人誌でも貰って、確認してみようかしら・・・。
また、佐賀県は今回の目安額からの大幅引き上げにより、九州内最低賃金ランキング(えっ?そんなランキングあるの?・・・って、私が勝手に思っているのでないと思うけど。)で、福岡県、大分県に続く第3位となりました。喜んでいいのかどうかはわかりませんが、去年は九州の他県が大きく最低賃金伸ばしたからなぁ。その反動があったのかもしれませんね。
そして、その最低賃金の発効日なのですが、各県横並び・・・という事はなくて、各県で割とバラバラな状態となっています。表にしてみるとこんな感じです。
| 県名 | 福岡県 | 佐賀県 | 長崎県 | 熊本県 |
| 発効日 | 10月4日 | 11月15日 | 11月2日 | 12月1日 |
| 県名 | 大分県 | 宮崎県 | 鹿児島県 | 沖縄県 |
| 発効日 | 11月1日 | 10月24日 | 10月25日 | 12月2日 |
うーん、早い県で福岡県の10月4日、遅い県で沖縄県の12月2日と・・・約2か月の開きがある感じです。単一の県だけで事業を行っている会社さんはいいのですが、複数の県にまたがる場合は、どの県が何日かをしっかりと把握しておかないと、お給料の引き上げが間に合わない事にもなりかねませんので注意ですね。まぁ、令和7年度は目安額より大きく上げた県の発効日が遅い傾向が顕著にあった気がするのですが、令和8年度においては多少の相関はあるかもしれませんが、そのような傾向は少ないような感じがします(全国で見ても目安額から大きく上げた東北地方の発効日は軒並み10月台ですし・・・。)。
⑤最低賃金上昇に使える助成金とか無いの?
さて、会社さん、特に中小企業さんにはとても厳しい、地域別最低賃金の上昇なのですが、これを和らげる手段があったりします。そうっ!助成金ですっ!
今回、この地域別最低賃金上昇に対応する助成金をさわりだけ紹介して、終わりにしようかなと思います。って、去年の最低賃金のブログにも書いているんだけどね。
1.業務改善助成金
やっぱ、地域別最低賃金上昇に対応する助成金で一番に上がるのはこれではないかと思います。これはちょっと前のブログで書いていますが、事業所内最低賃金を一定量(今年は3段階に分かれていたかな?)上昇させ、同時に生産性向上に資する設備投資等を行った場合、『賃金上昇のランク×人数』で決まる限度額か設備投資等の金額の一定割合(3/4ないし4/5のどちらか)の少ない額を助成してくれる制度となっています。詳しくは過去ブログを見た方が早いかなぁ・・・。
過去ブログ『毎年確認が必要ですよね?』
まぁ、上のブログは業務改善助成金のすべてを書いている訳ではないのですが、概要等も簡単に書いていますので、ある程度のイメージはつかめるのではないかと思います。
ちなみにこの助成金においては9月1日からの募集開始となっており、締め切りは地域別最低賃金の発効日前日と11月30日のいずれか早い方・・・となっていますので、すでに始まっており、佐賀県では地域別最低賃金の発効日は11月15日からですので、11月14日が締め切りとなっています。今から手を付けるにはかなり厳しい日程となっていますが、急げば間に合うと思いますので、何かしら業務改善に繋がる設備等導入を考えていらっしゃる方は急いで準備を進めた方がいいと思われます。
かなり賃上げの痛みが和らぐのではないかと思います。
佐賀県は11月15日が発効日ですので、多少の時間はあるのですが・・・例えば・・・福岡県の場合、募集期間が1か月ちょっとしかないのだけど、間に合うのかなぁ・・・。事前に相当の準備を行わないと、なかなか難しいのではないかなぁと思うのだけど。
2.働き方改革推進支援助成金
これは賃上げが直接助成金になる訳ではありませんが、賃金引き上げにより、助成上限金額の加算が受けられます。その加算額はこんな感じです。

厚生労働省『令和8年度「働き方改革推進支援助成金」労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内』より
一応加算額としては賃上げの上昇率と対象人数によって金額が変わる感じとなっています。ただし、これはあくまでも加算額であって、助成金本体は別の条件があります。そのコース的には業種別課題コース(建設業、運送業、病院等、砂糖製造業、情報通信・宿泊業)、労働時間短縮・年休促進コース、勤務時間インターバル導入コースの3つ(他にも団体で受けるのやら、配送センターが受けるのやらもあります。)があり、それぞれにおいて、対応すべき課題が若干異なる感じです。自社の条件に合うものがあれば、申請を検討してみてもいいのではないかと思います。
また、この助成金も業務改善助成金と同様、課題改善にかかった費用の一定割合(3/4又は4/5)を助成する制度となっており、上記賃上げ加算は助成金の上限額を引き上げるものとなっています。ですので、課題改善にかかった費用が上限額と比べ低額の場合は、賃上げ加算は意味ないものとなりますので、注意ですね。
ちなみにこの助成金の申請は11月30日までなのですが、地域別最低賃金発効後の賃上げにおける発効後の最低賃金に届かない部分は切り捨て(1095円から何%賃金が引き上げられたかで考える。)られることになりますので、この賃上げ加算も申請する場合は、最悪でも11月14日までに申請と賃上げを終わらせておく必要がありますので、タイトなタイムスケジュールとなりそうです。また、この場合、その後に交付・不交付の通知が来ることになりますので、助成金自体が不交付になれば・・・当然加算も何もあったものではありませんので、賃上げは空振りとなる可能性もありますので、注意です。でも、ほっとくと最低賃金違反で違法になりますので、どっちにしても賃上げは必要なんですけどね。
3.キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)
キャリアアップ助成金は正社員化コースが一番有名なコースではあるのですが、この正社員化コースは『半年以上非正規で働いている方がいる』、『就業規則が正社員化コースに対応したものである』等の条件がありますので、今回の地域別最低賃金の発効日までに間に合わせるのはちょっと厳しいのではないかと思われます。また、急ごしらえで就業規則を整備しても、正社員化の制度が制度として確立してないのではないかとみられる可能性があり、不利に働くということも考えられますので、このコースを考える場合は、もっと腰を据えて計画的に実行していくのが良いのではないかと思います。
で・・・賃金規定等改定コースなのですが、このコースはどの様なコースなのかと言うと、非正規の方の賃金規程(等級制度や賃金テーブル、評価制度の連動、ルールの明確化など)の見直しを行い、賃金を3%以上引き上げた場合、支給される助成金となります。事前の計画書の提出など事前準備もありますが、しっかりと賃金規定を作って、それに則り3%以上の非正規の方の賃金引上げを行えば支給されますので、何とか間に合うかもしれません。
その支給額としては下の通りとなります。

厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度)』より
加算も申請できるかどうかはタイムスケジュール的に微妙なラインかもしれませんが、これを機会に、非正規の方の賃金制度の見直しをしてみようと思ってらっしゃる会社さんにはいいのではないかと思います。ちなみに、上の2つの助成金とは違い、導入した設備等の一定割合という助成金の支給方法ではなく、新しい設備等を導入しなくても支給されるのはありがたいですね。
という事で、今回は毎年恒例の地域別最低賃金の答申が出ましたので、それについて書いてみました。今年はなんと!佐賀県が全国1位の上昇幅になるという結果でした。私もびっくりです💦
働く側には嬉しい地域別最低賃金の大幅上昇ですが、会社さん側からすると負担増は避けられません。しっかりと助成金等を利用させていただきながら、痛みを緩和しつつ、できるだけ働く方に分配できる財務体力を身に着けていきたいものですね。
最後に、今回のブログと関係ありそうなリンクを貼っておきますね。
厚生労働省『令和8年度最低賃金額答申』
厚生労働省『業務改善助成金』
東京労働局『働き方改革推進支援助成金について』
厚生労働省『キャリアアップ助成金』
ついでに過去ブログの宣伝も・・・
過去ブログ『今年も結構上がるなぁ・・・。』←去年の地域別最低賃金
過去ブログ『10月からですのでお忘れなきよう・・・。』←一昨年の地域別最低賃金
過去ブログ『毎年確認が必要ですよね?』←業務改善助成金の変更点
今回も乱筆乱文、失礼しましたっ。
