春はお給料微増減の季節!?

 桜も咲いて、春爛漫と言った季節になっていますが、春というと・・・社会人であれば、転勤や出向、そこまでいかなくても、昇進や昇格、給料アップ・・・悲しい事に反対に降格や給料ダウンなど、身の回りやお給料に関する大きな出来事が起こる機会が多い季節となっています。
 今回はその様な大きなお給料の変動ではなく、その陰でお給料の手取りが微増減する事を書いていきたいと思います。何によって手取りが微変動するかと言うと社会保険や雇用保険の保険料率が新年度前後で微妙に改定されるのです。
 まぁ、金額的には小さな変動で、生活に直結するという事は全くない程度の変動なのですが、新設されたものもありますので、『へぇ、今年の引かれ物はこんな感じになるのかぁ・・・』という感じでご覧になってくださいね。ちなみに今回の社会保険の計算は協会けんぽさんのお話で、健康保険組合など独自の保険料率がある場合は、健康保険組合独自の数値になりますので、ご注意くださいね。

 今回、例題でお給料額等を出していますが、これらの例はふつーの会社の従業員さんの方で、月末締め・翌月払いのお給料支払いを行っている会社さんを想定していますので、そのつもりでご覧になっていただければありがたいです。

①今年の社会保険料はどう変わる?
②同じ社会保険料だけど、介護保険料は?
③雇用保険料ってどうなるんだっけ?
④あれ?社会保険料になんかくっついてる・・・。
⑤結局、トータルするとどのくらいの手取り変動があるの?

①今年の社会保険料はどう変わる?

 社会保険料・・・高いですよねぇ。まぁ、高い高いと文句を言ってもしょうがないので、社会保険料ってどうなっているかを紐解いていってみましょう。
 まず、社会保険料と言われるものは普通の従業員さんの場合、『健康保険料+厚生年金保険料+介護保険料』の3つが合わさったものの総称ですね。まぁ、今後ちょっと変わるのですが、それは後述するとして、この中で厚生年金保険料は保険料率が決まっていて、18.3%を労使で折半することになっています。ですので、従業員さんがお給料から天引きされるのは18.3%の半分、お給料の9.15%が厚生年金保険料として天引きされることになるのですね。この保険料に関しては一時期まで上昇していましたが、18.3%で固定されましたので、現状においては毎年変動があるという事はない状況です。
 介護保険料については次の段落で話していくという事で、一旦飛ばしちゃいます。

 そして、ここでは健康保険料について書いていきたいと思います。はてさて、どのように変わったのでしょう。次の様に変わりました。

                            協会けんぽ『令和7年度保険料額表(佐賀支部)』より一部抜粋

                            協会けんぽ『令和8年度保険料額表(佐賀支部)』より一部抜粋

 
 全国平均では令和7年度の健康保険料率は10%、令和8年度においては9.9%となっており、0.1%保険料率が減少しております。これも労使折半ですので、従業員さんが支払う分としては5.0%が4.95%となり、0.05%分手取りが増える計算となるのですね。
 佐賀県(上記表は佐賀県の表から抜粋しました。)においても10.78%から10.55%へと0.23%の減少と、全国平均よりも大き目な減少率となっており、労使折半になりますので0.115%の減少となり、若干ではありますが、手取り額に影響が出そうです。

 率だけではどの程度影響があるのか見えづらい所もありますので、佐賀県の健康保険料率を例に金額を当てはめてみようと思います。例題としてはお給料が額面20万円(いろんな手当込み)、ボーナス30万円×2、年収額面300万円を想定してみたいと思います。

お給料額面20万円・ボーナス額面30万円×2(年収300万円の場合)

・令和7年度
お給料:    20万円 × 10.78% = 21560円
労使折半なので・・・ 21560円 ÷ 2 = 10780円
ボーナス:   30万円 × 10.78% = 32340円
労使折半なので・・・ 32340円 ÷ 2 = 16170円
年間:    300万円 × 10.78% = 323400円
労使折半なので・・・323400円 ÷ 2 = 161700円

・令和8年度
お給料:    20万円 × 10.55% = 21100円
労使折半なので・・・ 21100円 ÷ 2 = 10550円
ボーナス:   30万円 × 10.55% = 31650円
労使折半なので・・・ 31650円 ÷ 2 = 15825円
年間:    300万円 × 10.55% = 316500円
労使折半なので・・・316500円 ÷ 2 = 158250円

・差額
お給料: 10780円 - 10550円 = 230円
ボーナス:16170円 - 15825円 = 345円
年間:161700円 - 158250円 = 3450円

 こんな感じですねー。当然、お給料額が変われば、健康保険の等級(標準報酬月額と呼ばれます。)が変わりますので、金額も変わりますし、この健康保険の等級は一定の範囲で保険料をランク付けしますので、完全に比例するとは言いませんが、大体はお給料の増加に比例して決まっていく事になります。
 この保険料率減額の理由ですが、全国的な賃上げの進行により、働く方の健康保険の等級(標準報酬月額)の上昇があり、想定より保険料収入が増えたことが大きな要因の様です。それにより、準備金の増加があり、また、政策的判断も加わった結果の様です。という事は、今年の春闘もまずまずの回答が出ている状況であり、それに合わせてだと思うのですが、最低賃金の上昇幅も大きくなりそうな感じがしますので、来年も健康保険の保険料率は低下する可能性はありそうですね(そうあって欲しいという希望ですけど・・・💦)。

 ちなみにこの健康保険料の保険料率変更はいつからかと言うと、3月に働いた分からですので、翌月払いの場合は4月に頂けるお給料からこの新しい保険料が適用されるようになります。この保険料率の変更のみをみると、すこーしだけ、手取りのお給料が増えそうですね。

②同じ社会保険料だけど、介護保険料は?

 さて、健康保険料同様、社会保険料として天引きされる介護保険料はどの様になるのでしょう。この介護保険料は40才以上の方が第2号被保険者となり、保険料が徴収(ちなみに65歳以上の方は第1号被保険者となり、年金など別系統で保険料が徴収されます。)されます。まぁ、ある程度の年齢になったら、介護が心配なお年でしょ?って感じでしょうか。もしくは・・・40歳ぐらいの年齢の方のご両親って、60~70歳ぐらいだと思いますので、ご両親の介護費用を払ってる・・・ってイメージもあながち間違ってないかもですね。
 その保険料率ですが、令和7年・令和8年分共に①の表を引き算すると出てきますね。令和7年度は1.59%、令和8年度は1.62%となっています。ですので、この介護保険料においては0.03%の上昇ですね。これも労使折半となっていますので、従業員の方の負担は0.015%増える事になります。という事は①のお給料例で考えると次の様になります。

 月のお給料20万円、ボーナス30万円(年2回)、年収300万円ですので、令和8年度の負担金額は月々のお給料では3240円(+60円)、ボーナスでは4860円(+90円)、年間での負担は48600円(+900円)となります。去年と比べて、月のお給料で60円、ボーナスでは90円、年間で900円の負担増となるのですね。まぁ、超高齢社会になって久しく、これからも老齢人口比率が増えていく事を考えると、この介護保険料は徐々に増えていくのではないかなぁ・・・と言うのは想像に難くないですね。

 この介護保険料の変更も3月に働いた分(翌月払いの場合は4月支給分)からの変更となっていますので、前述の健康保険料と合わせると、4月支給分のお給料においては若干の手取り増となりそうですね。

③雇用保険料ってどうなるんだっけ?

 次に雇用保険料です。これは失業した時の求職者給付(基本手当など)やスキルアップ支援などで使える教育訓練給付(一般教育訓練給付など)、再就職を支援する就職促進給付(再就職手当など)、働き続ける方を支援する雇用継続給付(育児休業給付など)、はたまた、条件を満たした会社さんに助成金を出したりするための助成事業などに使われます。

 この雇用保険料ですが、令和7年度は次の様になっていました。

                                      厚生労働省『雇用保険料率について』より

 これが令和8年度には次の様に変わります。

                                      厚生労働省『雇用保険料率について』より

 助かる事に、変更箇所は赤色になっています。雇用保険料においてはコロナの時に雇用調整助成金と言う従業員さんを解雇することなく、休業させることにより雇用を守った会社さんに助成する制度の利用が爆発的に増えた為、積立金が枯渇したことにより、コロナ後、保険料率が一気に上昇し・・・それから落ち着いてきている最中となっています。ですので、令和7年度も令和8年度も若干の保険料率低下となっています。また、雇用が安定しない業種(農林水産業・清酒製造業・建設業)の雇用保険料率は若干高めの保険料率となっています。

 で・・・この保険料率が令和8年度はどの様になったかというと、一般の業種で言うと全体で1.35%(従業員さんの負担0.5%、会社さんの負担0.85%)、農林水産業・清酒製造業においては1.55%(従業員さんの負担0.6%、会社さんの負担0.95%)、建設業においては1.65%(従業員さんの負担0.6%、会社さんの負担1.05%)となっています。令和7年度と比べて、すべての業種において0.1%の減少となっており、従業員さん、会社さんそれぞれ0.05%の負担減となっています。

 今回例題に使っているお給料20万円、ボーナス30万円、年収300万円の場合、その保険料は次の様になります。あっ、一般の業種の方で計算しますね。

お給料: 20万円 × 0.5% = 1000円(100円減)
ボーナス:30万円 × 0.5% = 1500円(150円減)
年間: 300万円 × 0.5% = 15000円(1500円減)


 こんな感じで、お給料では100円、ボーナスでは150円、年間においては1500円の手取り増となります。うーん、お給料においては缶コーヒーも飲めない金額ではありますが、すこーしだけ手取り増となる計算です。

 ちなみに、この雇用保険料率の改定は『4月1日を含む最初の賃金支払い対象期間』からとなっていますので、末締めのお給料の場合、4月1日を含むのは4月1日~4月30日の労働期間のお給料ですので、5月支払い分のお給料から対象期間となります。

④あれ?社会保険料になんかくっついてる・・・。

 そして令和8年度から新たに徴収される保険料があります。これは健康保険料や介護保険料と一緒に社会保険料として徴収されるもので、『子ども・子育て支援金』と呼ばれるものです。昔のブログでもすこーし触れたことがありますが、これの使用用途としては次のようなものが挙げられます。

・児童手当の拡充
・子ども誰でも通園制度
・妊産婦絵の支援給付
・雇用保険の育児休業給付等の拡充
・育児期間中の国民年金保険料免除


と・・・妊娠をされたり、お子様を育てたりする方により手厚い手当を行うための財源として使われるのですね。独身税と呼ばれることもありますが、子どもは社会の宝と言う考え方で言うと、広く財源を集めて、お子様を育てやすくる社会を作るのは良い事だと思います。まぁ、負担が大きくなりすぎなければ・・・の話ですが。
 と、その負担のお話ですが・・・令和8年度は次の様になっています。

                                    協会けんぽ『令和8年度保険料額表(佐賀支部)』より

 と・・・①で引用した表に続きがあった・・・って感じになります。という事で、今年は0.23%が子ども・子育て支援金の保険料率となっており、これを労使折半することになります。ですので、従業員の方の負担分としてはお給料の0.115%という事になります。

 ずっと例題にしているお給料20万円、ボーナス30万円、年収300万円の場合の負担増は次の様になります。

お給料: 20万円 × 0.115% = 230円
ボーナス:20万円 × 0.115% = 345円
年間: 300万円 × 0.115% = 3450円


 お給料で230円、ボーナスで345円、年間で3450円の負担増となるのですね。まぁ、これくらいなら・・・と思うかもしれませんが、この子ども・子育て支援制度の支援金の保険料率ですが、来年度、再来年度も保険料率の上昇が予定されています。ただ・・・いくら上がるかはまだ決まっていない様で、はっきりとしたことは言えませんが、例題のお給料だと月額100円ぐらいずつ上昇する見込みではないかと思われます。

 この子ども・子育て支援金ですが、いつから反映かと言うと、4月からの適用(翌月徴収となるので5月分のお給料から徴収)となります。まぁ、月末締めの会社さんの場合、雇用保険料の引き下げと同時になるのですね。

⑤結局、トータルするとどのくらいの手取り変動があるの?

 と・・・ここまで今年度末もしくは年度初めからのお給料の手取り額に微妙な変化をもたらす、社会保険料・介護保険料・雇用保険料・子ども子育て支援金の改定・新設について書いてみましたが、それぞれの金額が小さく、項目も多い事もあり、結局どうなるのかを整理したいと思います。
 ずっと例題で出している、お給料20万円、ボーナス30万円、年収300万円の例題で行きますね。金額で出していますが、実際の変更は絶対額ではなく、保険料率の改定ですので、皆様のお給料で考える場合は、それに合わせて考えて見てくださいね。また、介護保険料も入れていますので、40歳未満の方はその分は差し引いてくださいね。

R8年4月支給分R8年5月支給分
健康保険料+230円
介護保険料-60円
雇用保険料+100円
子ども子育て支援金-230円
合計+170円-130円(4月と合わせて+40円)

 おおぅ・・・何て細かい変化なんだ・・・。末締め翌月払いのお給料の場合、4月支給分で170円手取りが増えて、5月支給分で130円手取りが減る・・・トータルで40円手取りが増える計算となります。まぁ、これに所得税とかが掛かってきますので、正確にはこの金額ではありませんが、この春の手取り額変動はこのようになります。会社さんの業績が良く、お給料を上げてくれたら、その影響でこんな細かい数値の上下は吹っ飛ばしてしまうのですけどね。


 という事で、今回は微妙な金額ながら、この年度を挟んだお給料での引かれ物の額がすこーしだけ変わりますよーという話をしてきました。特に子ども子育て支援金は来年、再来年と増額が予定されていますので(大体2年後には2倍弱の金額になる予定の様です。)、こちらの数値の変化には注意を払う必要がありそうですね。まぁ、こんな金額なんて吹っ飛ばすようなベースアップが皆様の会社である事を祈っています。いっぱい稼いでいっぱい納める・・・これが一番いいんだろうなぁ。私的にはいっぱい納めたくはないけど💦

と、今回と関係ありそうなリンクを貼っておきますね。

協会けんぽ『令和7年度保険料額表(令和7年3月から)
協会けんぽ『
令和8年度保険料額表(令和8年3月から)
厚生労働省『
雇用保険料率について
子ども家庭庁『
子ども子育て支援金制度について


ついでに、子ども子育て支援金制度について書いた過去ブログも貼っちゃっとこっと。
過去ブログ『多少は子育ての負担が解消されるかなぁ・・・。

今回も乱筆乱文、失礼しましたっ。