51人・・・微妙な人数だ・・・
今回は10月1日から制度が変更となる、特定適用事業所について書いていこうかと思います。今回も制度変更のお話だけですので、短めのブログになるかなぁと思います。
さて、特定適用事業所とは何か・・・なのですが、『106万円の壁・130万円の壁?』でちょっとだけ触れたとお思いますが、一定条件の短時間労働者に社会保険に加入してもらう事業所の事を言います。この条件の中の会社側の条件・・・9月末までは101人以上の被保険者が在籍する会社であったものが、今年10月からは51人以上の被保険者が在籍する会社に変更になります。
まぁ、変更点はこれだけですので、これでブログしゅーりょー・・・でもいいのですが、条件等を再確認してみたいと思います。
①特定適用事業所における短時間労働者の条件とは?
②何か特殊な手続きはいるの?
③50人以下になったらどうなるの?
④50人以下でも特定適用事業所になる事はできるの?
①特定適用事業所における短時間労働者の条件とは?
さて、今回被保険者50人超へと変更になる特定適用事業所の条件ですが、どのような方が対象になるのでしょう。変更点は会社の在籍被保険者数のみですが、さらっとおさらいしてみたいと思います。ちなみに今回の変更点である被保険者51人以上においては、本来の被保険者(いわゆる3/4要件を満たしている被保険者)でカウントします。
会社の要件・・・
・被保険者101人以上 → 被保険者51人以上へ変更
働く方の要件・・・
・週の所定労働時間が20時間以上
・所定内賃金が8.8万円以上(106万円の壁)
・2か月を超える雇用見込みがある
・昼間学生ではない
となります。まぁ、俗に言う106万円の壁の適用拡大という形になります。この中で、学生さんは対象外ではあるものの、夜間の学生さんとか休学中の学生さんとかは対象になりますので、お給料以外の面における注意点となります。
②何か特殊な手続きはいるの?
では、この特定適用事業所(社会保険の被保険者数が51人以上の事業所)に今年10月から新たになった場合、何か特殊な手続きは必要なのでしょうか?
通常であれば、この特定適用事業所に該当するようになった場合は『特定適用事業所該当届』を日本年金機構に出す必要があるのですが・・・。『日本年金機構のQ&A』にこのような回答がありました。
令和5年10月から令和6年8月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が6か月以上50人を超えた事が確認できる場合は、日本年金機構において対象の適用事業所を特定適用事業所に該当したものとして扱い、対象の適用事業所に対して『特定適用事業所該当通知書』を送付する為、『特定適用事業所該当届』の届出は不要です(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有するすべての適用事業所に対して通知書を送付します。)。
適用拡大の実施にともない、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、各適用事業所がその者にかかる「被保険者資格取得届」を令和6年10月7日までに事務センター等へ届け出る必要があります(健康保険組合が管掌する健康保険の「被保険者資格取得届」については、健康保険組合へ届け出ることになります)。
日本年金機構『令和6年10月1日から特定適用事業所に該当する適用事業所は、どのような手続きが必要ですか。』より
という事で、『特定適用事業所該当通知書』が届いた場合は特殊な手続きは不要の様です。ただし、対象のパートさんやアルバイトさんの保険加入手続きは当然にしないといけませんので、ちゃんと『被保険者資格取得届』の提出は必要になります(健康保険組合の場合は健康保険組合にも)。ですので、『特定適用事業所該当通知書』が届いた場合、社会保険加入のメリット・デメリットをしっかりと説明し、納得してもらってから、忘れずに該当のパートさん、アルバイトさんの社会保険を行わないといけませんね。
また、対象の従業員さんもそうなのですが、会社側にも保険料負担の問題が出てきますので、しっかりとシミュレーションを行い、従業員さんにどのくらいの負担になるのか説明すると共に、会社側の負担額も把握しておかないと思わぬ負担増に悩むことになるかもしれません。
③50人以下になったらどうなるの?
この今年10月からの『特定適用事業所』への変更は強制ではあるのですが・・・それでは・・・一度特定適用事業所に指定されたのち、人員が減っちゃって、50人以下になった場合にはどうなるのでしょうか?これが・・・当然に特定適用事業所から外れちゃうという事はありません。この特定適用事業所から外れる為には、一定の手続きが必要になります。要するに、この手続きを行わないと、被保険者数が50人以下になった場合でも『特定適用事業所』と見なされちゃうことになるのですね。
その手続きとは・・・
・使用される被保険者の方の3/4の方の同意を得る(これは同意対象者の3/4以上で組織する
労働組合がある場合は労働組合の同意書・事業主の証明書、その組合が無い場合は3/4以上を
代表する方の同意書・事業主の証明書、もしくは同意対象者の同意書が必要です。)。
・上記同意書と『健康保険・厚生年金保険 特定適用事業所該当/不該当届』を合わせて年金事務
所に届け出る。
となります。まぁ、自然に不該当になる訳ではないのですね。不該当になった場合(対象の被保険者数が50人以下になった場合)で、特定適用事業所の指定を外れたい場合は、忘れずに届け出すようにしましょうね。また、この時には短時間労働者(パートタイマーの方やアルバイトの方)で、上記適用拡大で社会保険の対象となった方の、『被保険者資格喪失届』も併せて提出することになりますので、そちらも忘れないようにしなくちゃいけませんね。
④50人以下でも特定適用事業所になる事はできるの?
これは・・・なる事はできます。福利厚生を高めるためになりたい事業主の方もいらっしゃるかもしれませんが・・・あまりなりたがるようなものじゃないだろうなぁ・・・って感じもします。
で、この手続きですが、ほぼ特定適用事業所から外れる場合と変わりません。1つだけ違う事は・・・外れる場合は『対象の被保険者の3/4の同意』が必要であったものが、『対象の被保険者の過半数の同意』が必要・・・と緩和されている点です。過半数の同意で特定適用事業所になる事ができて・・・特定適用事業所を抜ける時は3/4の同意が必要っと・・・すこーしだけ抜ける時の方が条件厳しくなるのですね。
その同意書と特定適用事業所該当/非該当届を年金事務所に届け出て、特定適用事業所になる事ができます。当然、その時に対象のパートさん、アルバイトさんがいらっしゃる場合は、『被保険者資格取得届』や『被扶養者異動届(第3号被保険者関係届)』も一緒に提出が必要になりますので、忘れないようにね・・・って、その為に特定適用事業所になるのだから、忘れない・・・かな。
と・・・今回は特定適用事業所への適用基準が対象被保険者101人以上から対象被保険者51人以上に変更となりますので、紹介させていただきました。この特定適用事業所の対象人数はどんどん拡大されて行っています(2017年4月:501人以上→2022年10月:101人以上→2024年10月:51人以上)ので、今後も拡大していく事が予想されます。しっかりと把握し、何かしら確定的な動きがあったら、またブログでお知らせしますね。
最後に・・・日本年金機構の対象ページ、そして、私の過去ブログで関係ありそうなところをリンクしておきますね。
日本年金機構『短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大のご案内』
過去ブログ『106万円の壁・130万円の壁?①』
過去ブログ『106万円の壁・130万円の壁?②』
今回も乱筆乱文、失礼しましたっ。