今年の年金額はいくらになったんだろ?

 税制改正大綱のお話を引っ張りすぎたせいで旬を逃した感じもするのだけども、令和8年度の年金金額の改定が発表されています。って、プレスリリースが1月23日でしたので、もう2か月ぐらい前に発表があったのですね。いまさら感は否めませんが、去年、一昨年とブログで取り上げていますので、今年も懲りもせず、取り上げてみたいと思います。
 ちなみに去年、一昨年のブログは下の様な感じですので、過去のお話ですが、興味があり、暇でしょうがない方はご覧になってくださいね。

去年ブログ今年はいくらになったかな?
一昨年ブログ年金の金額が決まりましたっ!

 年金改定のルールは過去2回のブログでも取り上げていますので、今回は割愛・・・はできないけど、かなり省略したいと思います(興味がある方は過去ブログをどうぞ・・・って、過去ブログの再生回数を稼ごうとしてるw)が、今回はちょっと例年とは違う事情を汲んだ数値と言うか、例年の改定率以外の数値が2つあります。今年の年金額などを紹介しながら、その2つの特殊事項についてすこーしだけ書いてみようかなぁと思います。

①今年の年金額はどうなった?
②あれ?マクロ経済スライドが・・・?
③在職老齢年金ってどうなったんだろ?
④国民年金保険料も上がったんだろうなぁ。
⑤その他、付随して金額改定があったものはあるの?


 むぅ、去年・一昨年とあまり変わり映えのしないお題目ではあるものの、進めて行きたいと思います。

①今年の年金額はどうなった?

 さて、まずは今年の年金金額です。どんな感じになったのでしょう。厚生年金については後ほど書いていくとして、まずは基礎年金の金額から行きますね。
 基礎年金においては満額で1956年4月1日後生まれの方は年額847300円(月額70608円)、1956年4月1日以前生まれの方は年額844900円(月額70408円)となりました。率にして1.9%増、金額としては年額15600円(月額1300円)の増額となりました。という事で、ここ3年の基礎年金の支給額の変遷は次の様になります。

令和6年度令和7年度令和8年度
年額816000円
(813700円)
831700円
(829300円)
847300円
(844900円)
月額68000円
(67808円)
69308円
(69108円)
70608円
(70408円)

       カッコ内は1956年4月1日以前生まれの方

 うーん、近年のインフレ傾向、賃金上昇を反映して、ここ数年の年金金額は上がっていることが分かります。

 この年金改定の金額はその年の改定率とマクロ経済スライドで決まるのだけど、その詳しい方法は過去ブログに譲るとして、今年はどの様な数値になったのでしょうか。
 今年度の参考指標として物価変動率は3.2%の上昇、名目手取り賃金率は2.1%の上昇、マクロ経済スライドによるスライド調整率が-0.2%となっています。この中で物価変動率は単純に前年の物価変動率を使用するのですが、名目手取り賃金変動率は計算がすこーし面倒で、『2~4年前の実質賃金変動率(名目賃金から物価変動の影響を除いたもの) + 去年の物価変動率 + 3年度前の可処分所得割合変化率(令和5年度)』で計算されます。数値を当てはめてみると・・・『-1.1%(2~4年前の実質賃金変動率) + 3.2%(去年の物価変動率) + 0%(3年度前の可処分所得変化率)』となり、+2.1%という数値が出てくるのですね。
 で・・・年金の改定は既裁定者(68才以上)と新規裁定者(68歳未満)で若干ルールが違っており、そのルールは次の様になっています。

                                     厚生労働省『令和8年度の年金額改定について』より

 上の図の様に基本的には既裁定者は物価上昇率、新規裁定者は賃金上昇率を基に年金額が改定されるのですが、ちょっとだけ例外(というか、一方的に既裁定者が不利な特例)があって、物価上昇が賃金上昇より高い場合は、既裁定者も賃金上昇に合わせるというルールがあります。同様に賃金上昇率がマイナスで物価上昇率がプラスもしくは賃金上昇率よりもマイナス幅が少ない場合も、賃金上昇率に合わせて改定されます。要するに、既裁定者が新規裁定者より高い上昇率になりそうなときは新規裁定者に合わせるという事になっちゃいます。まぁ、何とも納得しがたいですが、そのようなルールとなっています。でもって、今回は上の図で言うピンクの所である⑥の状態(物価上昇率、賃金上昇率共にプラスだけど、物価上昇率が高い)となっており、既裁定者も新規裁定者と同様の上昇率となります。

 それにマクロ経済スライドの-0.2%を反映すると1.9%という今年の年金改定率が出てきます。まぁ、こんな感じで毎年の年金改定が行われるのですね。で・・・厚生年金の方を後回しにしたのですが、このマクロ経済スライド関係でちょっと去年までとは違う事が起こっているのです。

②あれ?マクロ経済スライドが・・・?

 上の基礎年金の所で今年のマクロ経済スライドは-0.2%となり、賃金上昇率と合わせて+1.9%の年金改定率と書いていますが、厚生年金の年金改定率は・・・+2.0%となっているのです。

あれ?基礎年金と違うじゃない!?

 と思われると思います。ちなみに私も思います・・・。
 この改定率のずれについて厚生労働省は次の様に『令和8年度の年金改定について』で書いています。

令和7年の年金制度改正により、次期財政検証翌年度(令和12年度を予定)まで厚生年金(報酬比例部分)のマクロ経済スライド調整を継続することにしています。この措置により、厚生年金受給者に不利にならないよう、この間の厚生年金の調整率を1/3に穏やかにすることとしています。

                                                厚生労働省『令和8年度の年金改定について』より

 えーと・・・次回の財政検証翌年度までマクロ経済スライド続行を決定したから、調整率を緩やかにするって事ですね。

ん?・・・ちょっと待って!?
 という事は、基礎年金と同様のマクロ経済スライドの調整率で改定を行った場合・・・厚生年金においては令和12年までにマクロ経済スライドの調整期間が終了してしまう可能性があるという事ですね。まぁ、終了するかどうかと言うのは今後の経済見通しとか厚生年金の被保険者の増減とか様々なシミュレーションを行った上で、終了する可能性があるという事だと思います。
 この早期終了には次のような理由が考えられるのではないかなぁと思います。

1.女性や高齢者の方の厚生年金加入が増え、厚生年金加入総数が増えた事。
2.近年の賃上げ機運向上により、平均報酬月額が増え、保険料収入が増加した事。
3.GPIF(年金積立金管理運用独立法人)の運用が想定以上で、積立金が膨らんでいる事。


 まぁ、何にせよ収入が増え、マクロ経済スライド期間が早期終了するのはいいことですよね。でも、ここで一つ疑問が私の中で残っています。それは・・・なぜ早期に終われるのであれば、1/3とかしないで、さっさと終わらせてしまわないのだろう?って事です。
 これに関しては完全な私見であり、ひねくれものの私の勝手な考えではあるのですが・・・次の財政検証において、余裕のある厚生年金積立金から厳しい状況の国民年金積立金に資金を移そうという話がされるはずです。これは前回(令和6年)の財政検証でも議論されていたのですが、大反対があり、次回に棚上げとなったやつですね。その話が再度行われるという事になりそうです。
 そして、次回の財政検証時にその案が何かしらの形で実現された場合、せっかく終わった厚生年金のマクロ経済スライドが復活してしまうのです。一度終了したものを復活させた場合、前回以上の大反対が起こる事は想像に難くなく、資金移管が実行できなくなるのではないかと思われます。それを避ける為、マクロ経済スライドを1/3にして、次回財政検証まで厚生年金側にもマクロ経済スライドを残しておこうとしているのではないかなぁと邪推しています。

 次回財政検証でどのようになるかはわかりませんが、積立金自体を基礎年金側に移すのはなかなか世論の目が厳しいのではないかなぁと思います。ただ、できるだけ基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライド期間終了の時期を合わせたいのも事実ですし、基礎年金の所得代替率の棄損もできるだけ抑えたいのも事実じゃないかと思われますので・・・私的には積立金には手を付けず、厚生年金保険料から国民年金勘定に振り分けられる『基礎年金拠出金』の比率を段階的に引き上げて、バランスを取っていくのが現実的かなぁと思ったりもします。

 ちなみに厚生年金の金額なのですが、これは厚生年金加入期間やお給料の多寡で変動しますので何とも言えませんが、厚生労働省が考えるモデル2人世帯においては次の様な感じです。
 平均標準報酬(賞与込み)が45.5万円で40年間勤務の方と専業主婦(主夫)の2人合計で237279円(+4495円)となっています。ただ、これには専業主婦(主夫)である、奥様・旦那様の基礎年金分(満額)も含まれますので、2人でこの金額という事になります。
 このほかにも、ライフスタイル別の年金額も『令和8年度の年金額改定について』で書いてありますが、人生が人それぞれの様に年金額も人それぞれです。自分の年金額は年金定期便等でしっかりと確認していきましょー。

③在職老齢年金ってどうなったんだろ?

 働きながら厚生年金を頂くと、年金金額を減らされちゃう在職老齢年金と言われる制度があり、これには年金が減らされ始める金額である『支給停止調整額』というものがありますが、この金額が令和8年度から大きく変わっています。さて、いくらからになったのでしょう?
 これは上の厚生年金のマクロ経済スライド同様、今年から金額が大幅変更となった数字になっています。でもって、いくらになったかというと65万円まで引き上げられました。この引き上げ措置が決定した時は62万円でしたので、ここ数年の名目賃金の上昇によって、当初より3万円増えた感じになったのですね。
 ちなみに今年3月までの『支給停止調整額』は51万円ですので、今年の4月から14万円増加することになります。という事は、それなり以上のお給料を貰って働いており、同時に厚生年金を受け取られている方にとっては大変うれしい改正となっています。今年4月(6月支給分)からの年金においてはちょっとした旅行ができるぐらい年金額が増える方も多くいらっしゃるのではないかと思います。

 この在職老齢年金の仕組みとしては、お給料とボーナス(月割)、そして厚生年金の報酬比例金額を足したものが『支給停止調整額』を超えた場合、その超えた分の1/2が支給停止となる仕組みとなっていて、今年3月までと4月からでは次の様に支給停止額が変わります。

お給料44万円(標準報酬月額)・ボーナス120万円・厚生年金の報酬比例金額10万円(月額)の場合

・今年3月まで
44万円(お給料)+10万円(ボーナス)+10万円(年金(報酬比例部分))=64万円
64万円-51万円(支給停止調整額)=13万円
13万円÷2=6.5万円(支給停止額)
10万円-6.5万円=3.5万円(年金支給額(報酬比例部分))

・今年4月から
44万円(お給料)+10万円(ボーナス)+10万円(年金(報酬比例部分))=64万円
64万円-65万円(支給停止調整額)=-1万円(マイナスなので0円)
0円÷2=0円(支給停止額)
10万円-0円=10万円(年金支給額(報酬比例部分))

こんな風に今年4月分から変わるのですね。この例でのお給料・ボーナス・年金金額(報酬比例部分)の場合、今年3月までは6.5万円も支給停止になっていたものが、満額支給されることになります。これだと、毎月1回、ちょっといい温泉旅行を夫婦水入らずでできそうな金額の年金額が増える事になりそうです。
いいなぁ・・・温泉旅行・・・💦

 という事で、今年4月から働きながら年金を頂く方に関しては、ちょっとリッチな老後を送れるようになりそうですね。また、年金の繰下げをお考えの方においても、年金支給が停止されている部分は繰下げの対象となりませんので、支給繰下げを行った場合においても、正当に?年金金額が増える事に貢献してくれそうです。まぁ、平均寿命が延びて、65歳以降においても働く方が増えている現代において、この在職老齢年金の支給停止調整額の増額は非常に嬉しい改正となったのではないかと思います。

④国民年金保険料も上がったんだろうなぁ。

 年金保険料・・・頭の痛い問題です・・・。
 厚生年金においては標準報酬月額と言われるお給料金額ごとによってランク分けされたものがあり、その金額に一定の保険料率(18.3%を労使折半)を掛け合わせて厚生年金保険料を支払いますので、お給料の増減が保険料の増減となるのですが、国民年金保険料は一定の金額(17000円)に毎年、名目賃金の変動に対応して金額が変わっていく保険料となっています。という事は、来年度の国民年金の保険料も上がったんだろうなぁ・・・って事が想定されます。まぁ、実際の所、来年度の保険料は去年決まっていて、再来年度のが今年決まった感じとなっています。
 その金額ですが、令和8年度保険料は月額17920円(今年比+410円)、令和9年度の保険料は18290円(来年比+370円)となっています。うーむ、名目賃金が上昇することは良い事なんだけど、保険料が上がっていくのは頭が痛い問題だなぁ。
 ここ数年の国民年金の保険料がどんな感じになっているかというと・・・

令和6年度令和7年度令和8年度令和9年度
金額16980円17510円17920円18290円
増減額+460円+530円+410円+370円
増減率+2.7%+3.12%+2.34%+2.06%

 基準額が17000円ですので、令和6年までは基準額(令和元年基準)を下回っていたのですね。デフレ感を感じる令和6年の金額ですが、ここ数年はインフレも名目賃金も上昇一直線ですので、保険料上昇も待ったなしっ!と言ったところですね。まぁ、最低賃金の上昇幅も大きい現在、もうしばらくはこの保険料の上昇も続くのだろうなぁ。ちなみにこの国民年金保険料は半年払いや1年払い、2年払い等、一括払いをすると割引されます(口座振替でも割引があります。)ので、手持ち資金がある方は上手く活用して、保険料を抑えるようにすると、賢く支払う事が可能となります。

⑤その他、付随して金額改定があったものはあるの?

 これらの年金金額、在職老齢年金の基準額や保険料以外にも今年の4月から金額改定となるものがいくつかあります。それらの金額もどうなったかをざっとではありますが、見て行きたいと思います。

1.年金生活者支援給付金
 これは年金で生活されている方で所得が少ない方に支援される給付金となっており、年金で生活をされている方で、所得が少なく、生活が苦しい方にとってはありがたい給付金となっています。その種類としては老齢年金生活者支援給付金、障害年金生活者支援給付金、遺族年金生活者支援給付金の3種類があり、それぞれにおいて条件が異なります。年金生活の方で所得が少ない方は一度、条件を調べてみてもいいかもしれませんね。
 その年金生活者支援給付金ですが、物価変動に応じた改定ルールにより、今年4月から増額されています。どのようになるかというと・・・

令和7年度令和8年度差額
老齢年金生活者支援給付金5450円5620円+170円
障害年金生活者支援給付金1級6813円7025円+212円
2級5450円5620円+170円
遺族年金生活者支援給付金5450円5620円+170円

 こんな感じになっています。なんだ、こんな金額か・・・と思われるかもしれませんが、これは月額ですので、年額に換算すると70000円弱・・・と結構生活の足しになる金額となり、侮れません。この金額は年金の改定とは違い、しっかりと物価上昇分増額しており、マクロ経済スライドもありませんので、物価負けしないのも嬉しい所ですよね。
 ただ、注意点としては老齢年金生活者支援給付金においては、上記表の金額が満額で、国民年金の納付状況によっては、未納割合に対応して減額される事、障害年金生活者給付金においては障害年金と同様、1級は2級の1.25倍となることぐらいでしょうか。世間並みに国民年金・厚生年金の納付を行っている場合、老齢年金生活者支援給付金を受給することは難しい(結構所得条件が厳しいのです💦)のですが、障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金は条件が少し緩くなりますので、条件を満たす方がかなり増えるのではないかと思いますので、頂けていない方は一度条件をチェック!です。

2.障害をお持ちの方に対する給付
 これは障害をお持ちの方や障害をお持ちのお子様を養育されている方、障害をお持ちのお子様自身に対して給付されるものとなっています。要件等は各種様々ですので、当てはまる可能性がある方は、一度調べてみてもいいかもしれませんね。
 これらの金額も物価変動に応じた改定ルールがあり、令和8年度から若干金額が上昇し、こんな感じになっています。

令和7年度令和8年度差額
特別障害者給付金1級56850円58650円+1800円
2級45480円46920円+1440円
特別児童扶養手当1級56800円58450円+1650円
2級37830円38930円+1100円
特別障害者手当29590円30450円+860円
障害児福祉手当16100円16560円+460円

 特に障害をお持ちの方は就労等が難しく、また、障害をお持ちのお子様を育てていらっしゃるご両親の苦労を考えると、元々の金額の多寡はともかく、物価上昇分をしっかりと増額してくれるのはありがたいですね。

3.その他の給付金
 その他の給付金として原子爆弾被害者に対する給付や母子家庭・父子家庭などに対する給付金の金額も物価上昇に付随して上昇しています。どのような感じかと言うと・・・。

・原子爆弾被害者に対する給付
福祉管理手当 37900円(令和7年度)
          ⇩
       39130円(令和8年度+1230円)

・母子家庭・父子家庭に対する給付
児童扶養手当 第1子   37900円(令和7年度)
       第2子以降 11030円(令和7年度)
          ⇩ 
       第1子   39130円(令和8年度+1360円)
       第2子以降 11350円(令和8年度+320円)


 と・・・こんな感じで令和8年度の年金金額等が決まっています。ちょっと税制改正大綱に時間をかけすぎて、時期を外した感じもありますが、今回のブログの金額で年金が支給されるのは6月支給分からだから、ギリセーフかなぁ。
 今回の年金金額改定としては在職老齢年金の支給停止調整額の上乗せがあったり、厚生年金のマクロ経済スライドの緩和があったりと・・・通常の年金改定よりもチェックする項目が多い感じがします。特に在職老齢年金については老後の働き方にも関わる問題ですし、しっかりと確認して、今後の働き方を考えてもいいかもしれませんね。
 まぁ、私たちの世代においては年金が消滅することはないと思いますが、マクロ経済スライドの影響もあり、所得代替率は低下していくと考えられます。しっかりと老後の設計を行いつつ、現状のお仕事に励みたいところですね。

最後に、今回のブログに関係ありそうなリンクを貼っておきますね。

厚生労働省『令和8年度の年金額改定について
日本年金機構『
在職老齢年金制度が改正されます
厚生労働省『
年金生活者支援給付制度 特設サイト
日本年金機構『
特別障害者支援給付金制度
厚生労働省『
特別児童扶養手当について
厚生労働省『
特別障害者手当について
厚生労働省『
障害児福祉手当について


ついでに過去ブログも貼っとこっと。

去年ブログ『今年はいくらになったかな?
一昨年ブログ『
年金の金額が決まりましたっ!


今回も乱筆乱文、失礼しましたっ。