定額減税っ、はっじっまーるよーーっ①

定額減税っ、はっじまーるよーーっ・・・はぁぁぁ・・・

 定額減税が始まりますね。今年の6月かららしいです。まぁ、これは岸田総理が増税メガネとか増税ク〇メガネとか言われたから(おっと、汚い言葉使っちゃった。)・・・切れてやったのかなぁとも言われています。
でも、なんで月次給与から減税するかなぁ・・・。年末調整で一気にやっちゃうか、給付の制度にすればいいのにっ。月次給与から引くことによって、どれだけ事務作業が煩雑になるか・・・。ほんとに国民の事考えてやっているのかなぁっと・・・給与計算業務に係る社会保険労務士としては思ってしまいます。全国の経理・総務の皆さん、税理士の皆さん、そして私たち社会保険労務士の皆さん・・・ご苦労様でございます。

 まぁ、文句ばっか言ってもしょうがないので、今回は定額減税の概要と年金生活の方、自営業の方の定額減税の概要にについて、次回はお給料から定額減税される方の定額減税の概要について、3回目は特殊な場合の注意点、疑問点について書いていきたいと思います。ただ、この定額減税においてはその家庭のあり方により様々なパターンがあり、その中にはまだよくわかってない部分もあったり、当然、私の理解が足りない部分もあります。ですので、ちょっとあやふやな部分もありますが、ご容赦くださいませ。

①定額減税って何?
②定額減税の対象者は?
③年金生活の人の定額減税は?
④自営業者の方の定額減税は?

①定額減税って何?

 定額減税とは『新たな経済に向けた給付金・定額減税一帯措置』の一環として行われる減税措置であり、物価高に苦しむ国民の負担の軽減を速やかに行うべく、今年1年限りで所得税と住民税を軽減する制度となっています。まぁ、岸田総理が思ったより税収があったので減税します・・・って言ったそばから財務省がそんなものないっと言われてみたり・・・いろいろありましたが、今年1回限りで行われることになりました。
 金額としては国民一人当たり所得税3万円、住民税1万円の減税となっています。まぁ、この所得税と住民税で分かれていることも混乱の原因となっているのだけど・・・どうせ地方調整交付金で補填するのだから、比較的金額が大きい住民税だけにするとか、もしくは国の制度なんだから所得税だけにするとかすればいいのに・・・。おっと、端々に愚痴が出てきてしまっちゃう。
 何にしろ、普通の家庭であれば、お子様や主婦・主夫の方、はたまた両親など、扶養がある場合は『この金額×人数分』が減税の額となるのですね。会社勤めの方は今年の6月から、年金生活の方や自営業の方は若干ズレるのですが、減税されていく事になります。

②定額減税の対象者は?

 では、定額減税の対象者はどのようになっているのでしょうか?主な要件は3つです。1つ目は判定日に日本に住んでいる事。2つ目は所得が1805万円以下の方(お給料だけだと年収2000万円以下の方)。3つ目は逆に令和6年の所得税を納付する方(住民税の場合は令和5年の所得分を令和6年に納税しますので、令和5年の所得です。)となります。

 この1つ目の日本在住(居住者といい、国内に住所を有する、もしくは現在まで1年以上日本に居住している方)というのは月次減税(6月からの毎月減税)においては今年の6月1日現在において、年末調整減税においては今年の12月31日において在住者である事・・・となります。ですので、ここで6月2日以降にお子様が生まれた(月次減税には入らないけれど、年末調整減税には入る)、お子様が留学された(月次減税に入るけれど、年調減税には入らない)など、現況の違いが発生すると金額が変わることになります。このような場合は、最終的には年末調整で調節することになります。ですので、最終的な減税額は年末調整で・・・という事になるのですね。
 ちなみに住民税においては去年の12月31日現在の状況に判断されますので、所得税では減税になるけど、住民税ではならない、逆に所得税では減税にならないけれど、住民税ではなる・・・と言った人も出てくると思われます(今後、救済的な変更があればわかりませんが・・・。)。

 2つ目の所得1805万円以下(お給料だと2000万円以下)というのは、あまりに多くのお給料や所得を頂いてらっしゃる方は対象から外しちゃおう、という事になります。一説には国会議員さんのお給料が2000万円を超えるぐらいだから、世間体的にこれを外したかったという説もありますが、まぁ、年末調整ではなく、確定申告しないといけないお給料額が2000万円であり、基礎控除が0円になる所得が2500万円、住宅ローン減税対象外となる所得が2000万円超であることを考えると、高額所得者の方には申し訳ないのですが、妥当なラインを引いたのではないかと思います。
 ここで一つ注意が必要なのは、お給料の見込額が2000万円を超えるからと言って、『月次減税をしなくてもいい』とはならないのです。月次減税は行い、確定申告で調整するという・・・なんだかよく分からない形になります。また、お給料と他の所得(不動産所得や事業所得など)を合わせて所得1805万円を超える場合も、確定申告時に調整することになります。

 3つ目の令和6年の所得税納税義務が無い方ですが、まぁ、そうですよね。所得税納税義務が無い方は扶養として、主たる納税者の定額減税の対象となるか、住民税非課税の方は昨年の3万円、今年の7万円の給付(18歳未満のお子様がいらっしゃる場合、1人当たり5万円の加算)、住民税均等割のみの世帯は10万円の給付(18歳未満のお子様がいらっしゃる場合、1人当たり5万円の加算)の対象となったのではないかと思います。これにおいては今年の住民税(令和6年納付分)で新たに非課税世帯、又は均等割のみの世帯となった場合も、給付金が配られることになります。
 この扶養となる判定においては所得が48万円以下である事(お給料のみの場合103万円以下である事)となります。ですので、所得控除である配偶者控除を受けてらっしゃる方は対象になりますが、配偶者特別控除を受けてらっしゃる方は対象にならず、これにおいては配偶者の方本人が定額減税を受ける形になります。ちなみに、この対象になる配偶者の方を『同一生計配偶者』と言われています。
 まぁ、これも・・・所得が無くなり、納税義務が無くなった時期によって・・・すっごい面倒な事になりそうな感じです。

③年金生活の人の定額減税は?

 年金生活の方の定額減税は6月分の年金支給から定額減税を受ける事になります。と書きたいところですが、実際は所得税が6月分から、住民税は10月分から減税となります。この時期が一致しない現象は・・・住民税の徴収の方法によるものらしく、4月・6月・8月は仮特別徴収、10月・12月・2月は『仮』が取れた特別徴収となっており、仮特別徴収の金額の変更はシステム上、難しいらしいです。ただし、令和6年から始めて年金金から特別徴収(年金天引き)される場合や、住民税が普通徴収(納付書で払う方法)の場合は、6月からの普通徴収時より住民税の定額減税を実施する形になります。
 また、公的年金の支払者に『令和6年分公的年金等の受給者の扶養親族等申告書』が提出されている場合は、その扶養の内容に沿った金額の減税が行われます。ですので、この申告書に同一生計配偶者や扶養親族がある場合は、人数分の減税が行われることになります。

 所得税の場合は下のイメージ図のように6月分から月次減税が始まり、それで引ききれなかった分は次の8月分、それでも引ききれない場合は10月分から減税されて行きます。

                                日本年金機構『公的年金から源泉徴収される所得税等の定額減税』より

 住民税の場合は時期がずれ、下のイメージ図のように10月分から定額減税が開始され、引ききれない場合は12月分、2月分と減税されて行きます。

                                 総務省『個人住民税の定額減税に係るQ&A』より

 所得税の場合は12月まで、住民税の場合は2月まで定額減税を行い、まだ残りがある場合ですが・・・補足的給付が行われることになると思います。まだ、詳細まで決まっていない市区町村もあると思いますし、市区町村で方法等若干変わると思いますので、市区町村から送られる案内には要チェックですね。

 まぁ年金の場合の計算は公的年金の支払者が計算(ご苦労様です。)してくれますので、自分で何か計算しなくてはならないと言う事はないのですが、注意点もあります。それは、年金を頂きながら働いている場合です。この時、定額減税が引かれるのはお給料からか、年金からか・・・どちらから減税されるかと言うと・・・実は両方からだったりします。月次のお給料からも定額減税を受け、年金からも定額減税を受けるという二重減税になります・・・が・・・そんな甘い話がある訳でもなく、確定申告で二重部分を修正することになります。まぁ、当たり前と言えば当たり前ですが、年明けに損した気分になっちゃいますね。
 また、扶養の人数が変わった場合においても、次の年の確定申告が必要になりますので、注意してくださいね。

 年金で生活をされている方においては、基本的には・・・6月と10月の年金は増えると考えていいのではないかと思います(引ききれない場合は2か月後の年金額も増えますが・・・。)。ただ、お給料と年金の両方をもらってる方、扶養の変更があった方は次の年の確定申告が必要ですので、注意してくださいね。
 また、期間内に引ききれなかった方については、市区町村から補足的給付が行われる予定となっています。案内等を見逃さないようにしないといけませんね。

④自営業者の方の定額減税は?

 次に自営業の方の定額減税です。これにおいても所得税と住民税で定額減税の方法が違いますので、分けて書いていきますね。

1.所得税の場合
 自営業の方の所得税における定額減税の方法は・・・基本的には確定申告において減税が行われます。ただし、予定納税(5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した予定納税金額が15万円以上の方は3回に分けて納税します。)の義務がある方は予定納税から減税されます。これは第1期分(7月1日から7月31日までに納付・・・ただし今年は9月30日まで。)で引ききれない場合は第2期分(11月1日から11月30日までの納付・・・ただし今年は休日の関係上12月2日まで。)から減税されます。
 また、予定納税から定額減税を受ける場合、同一生計配偶者や扶養親族に対する減税においては『予定納税額の減額申請』の手続きを行うと、予定納税からの減税対象となります(ただし、青色事業専従者、白色事業専従者はご自身の給与から定額減税されますので、除きます。)。この書類は7月15日までの締め切り(今年は延長され、7月31日締め切りです。)ですので、対象者がいらっしゃる場合は忘れずに提出する様にしましょう。
 また、給与所得や年金所得もあり事業所得もある方においては、給与所得や年金所得からの源泉徴収で減税されるのですが、最終的には確定申告において調整される形となります。

2.住民税の場合
 自営業の方の住民税は普通徴収(納付書による徴収)となりますので、住民税の第1期分(6月分)からの減税となります。そして、引ききれない分が残った場合は第2期分(8月分)・・・と続いていきます。

                                 総務省『個人住民税の定額減税に係るQ&A集』より

 自営業の方の住民税においても市区町村から減税された納付書が来ます(ご苦労様です。)ので、大きな手間はないのではないかと思います。ただ、現況(状態確認)の確認時期が住民税の場合は去年の12月31日、所得税の場合は今年の12月31日(予定納税の減額申請の場合はその日)と違いますので、ちょっとした混乱は起きそうな感じがします。

 と・・・ここまで定額減税のなんとなくの概要と年金受給者、自営業者の定額減税について書いてきました。この辺の情報は公式(特に国税局)のサイトを見ても情報薄いんだよなぁ。割と給与所得者の事はいっぱい書いてあるのに・・・。という事で、図解少な目で申し訳ありません。
 年金生活の方は計算自体は地方自治体がやってくれて天引き(ご苦労様です。)となるので、大きな問題はないと思います。ただ、所得税と住民税で減額の時期が違うのと、お給料も一緒に貰ってる方、扶養している同一生計配偶者・扶養の数が変わった時は要注意ですね。自営業の方は基本確定申告での減税となりますが、予定納税対象の方は予定納税から減税される形となります。また、住民税は普通徴収だと思いますので、こちらも減税の時期がずれる事となります。
 次回はお給料からの定額減税を書いていきたいと思います。

 最後に国税局(所得税)の『定額減税特設サイト』、総務省(住民税)の『定額減税特設サイト』、日本年金機構の『定額減税のページ』のリンクを置いておきますね。詳しく知りたい方はそちらをどうぞ。

国税庁『定額減税特設サイト』
総務省『個人住民税における定額減税について』
日本年金機構『公的年金から源泉徴収される所得税等の定額減税』

今回も乱筆乱文、失礼しましたっ。