今の所この上げ幅みたいです・・・。

今回は与党の税制改正大綱の変更点第2弾です。前回はiDeCoのお話でしたが、今回は自由民主党と国民民主党がバチバチやってる?・・・所得税における基礎控除・給与所得控除のお話です。これにおいてはまだまだ議論が続いており、どうなることやら・・・と言う感じではあるのですが、一応、昨年末に発表された税制改正大綱に金額が載っていましたので、書いてみようと思います。まぁ、国民民主党の玉木代表もいろいろあってるからなぁ・・・どの程度まで引き上げができるのか引き続き注目する必要がありそうです。
①基礎控除はどうなったの?
②給与所得控除はどうなったの?
③結局、今のまま決まるとどの程度の減税なの?
①基礎控除はどうなったの?
今回の税制改正大綱においては基礎控除と給与所得控除の両方での控除額引き上げがあっています。国民民主党の玉木代表は基礎控除の増額を望んでいたと思うのですが、現状においては両方での減税という枠組みになっているようです。
さて、その中における基礎控除の増額幅ですが・・・プラス10万円となっています。という事は、所得税においては48万円の控除から58万円の控除へと増額することになりそうです。ただ・・・気を付けたい事として、これは所得税のみの処置となっており、住民税はそのままとなっている事です。まぁ、地方自治体の財政状況を考慮した措置だと思いますが・・・所得税は超過累進課税となっていて、低所得者(課税所得1000円~194.9万円)の所得税は5%、住民税は10%であることを考えると、お給料が少ない方にとっては住民税の方が痛いんだよなぁ。最低税率の場合、税率は5%ですので5千円の減税となっており、そこまで大きくない感じもします。ちなみに・・・住民税の基礎控除額は43万円で据え置きとなりそうです。
また、基礎控除には一定以上の所得の方には段階的に適用されない仕組みとなっています。その入り口(段階の下限)は所得金額2400万円でしたが・・・これもすこーしだけ変更となりそうです。どのようになるかというと・・・。
所得金額 | 変更前 | 変更後 |
2350万円以下 | 48万円 | 58万円 |
2350万円超~2400万円 | 48万円 | 48万円 |
2400万円超~2450万円 | 32万円 | 32万円 |
2450万円超~2500万円 | 16万円 | 16万円 |
2500万円超 | 0円 | 0円 |
となります。所得が2400万円超える場合は変更ありませんが、その前段階として2350万円超~2400万円以下のカテゴリができた感じですね。まぁ、びんぼー人の私からすると・・・この辺の所得帯って、この細かな所得控除の段階的減少って気にするのかしら?って感じもしますが、超過累進課税ですので税率も高い事もあり、案外気になるかもしれません。また、このランクを新設したことによる税収への影響ってあるのかしら?とも疑問に思っちゃいますが・・・1ランク増やすみたいです。
また、この措置に合わせて・・・配偶者や扶養親族の所得金額の引き上げも次の様に行われるようです。

1.同一生計配偶者および扶養親族の合計所得金額要件 48万円→58万円
2.ひとり親の生計を一にする子の合計所得要件 48万円→58万円
3.勤労学生の合計所得要件 75万円→85万円
4.家内労働者等の事業所得における必要経費算入 55万円→65万円
うーん・・・1と2は想像できる感じもするけど、3と4はよくわかんないかもしれませんね。3の『勤労学生の合計所得要件』というのは、私的な解釈では・・・学生さんは働くの・・・大変だよね。130万円までのお給料(改定前+給与所得控除込み)だったら、所得税なしでいいですよー、って制度です。まぁ、上では『75万円→85万円』と書いていますけど、実際は・・・『基礎控除48万円+勤労学生控除27万円→基礎控除58万円+勤労学生控除27万円』になるって感じですね。ただ、私も勘違いしていましたが・・・この上限金額を所得が越えてしまうと、勤労学生控除の27万円は適用が無くなっちゃいますので、注意しないと・・・税額が大きくなっちゃいます。これにおいては住民税も同じ額の計算となりそうです。また、給与所得控除の引き上げもあるので、実際のお給料額では150万円までなら大丈夫になるようです。
また、4.の『家内労働者等の事業所得における必要経費算入』は内職など(実際はもうちょっと幅広いですが・・・)のお仕事をされている方においては必要経費が55万円(今後は65万円)以下であっても、55万円(65万円)までは必要経費にしてもいいですよー、って感じかなぁ。まぁ、家内労働者等の事業所得における必要経費算入の特例は、基礎控除が上がったからというよりは、給与所得控除が上がったからかなぁとも思います。
②給与所得控除はどうなったの?
基礎控除額の増額は①の通りですが、今回は給与所得控除も増額されています。その額は・・・10万円・・・って基礎控除額の増額と同じ金額です。という事は、合わせて20万円の控除増額となるのですね・・・。
と・・・言いたい所ですが、こちらもなんか条件が付いています。さて、どういう条件かと言うと、一律10万円上がるのではなく、最低保証額が10万円上がるだけとなっています。どういうことかと言うと、最低保証額の適用を受ける人(最低保証が増えたことでお給料が190万円以下の人に変更です。)は10万円増の給与所得控除を受けることができますが(162.5万円以上の方は段階的ですが・・・。)、それ以上のお給料を頂いている人は現状と何ら変わりない事になります。
今回の改正を表にしてみると下の様になります。
お給料額 | 改正前 | 改正後 |
190万円以下 | 55万円 | 65万円 |
190万円超~360万円以下 | お給料×30%+8万円 | お給料×30%+8万円 |
360万円超~660万円以下 | お給料×20%+44万円 | お給料×20%+44万円 |
660万円超~850万円以下 | お給料×10%+110万円 | お給料×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 | 195万円 |
うーん、上の表を見てみると、190万円までって・・・・アルバイトやパートで働く方のお給料のボリュームゾーンと考えられますので、その方々には恩恵がある改正となりそうですね。逆に正規でサラリーマンとして働く方はおそらく・・・お給料190万円を超えていると思われますので、まったく関係のない改正となりそうです。
あっ、ちなみに・・・この給与所得控除の方は基礎控除と違い、所得税だけではなく、住民税も適用となります。
③結局、今のまま決まるとどの程度の減税なの?
では、結局・・・どの程度、手取り額が増えるのでしょう?すこーし考えてみたいと思います。まず、基礎控除の方は所得金額が2350万円を超えない場合はみんな恩恵を受けることができます(所得税だけですが・・・。)。次に、給与所得控除はお給料190万円以下の方のみが控除の恩恵を受けることができて・・・それ以外の方は全く恩恵を受けることができません。
それを考慮して・・・本当なら社会保険料控除や生命保険料控除など様々な控除があるのですが、それらを全部吹っ飛ばして、基礎控除と給与所得控除のみがあると仮定して表を作成してみると・・・。
お給料額 | 基礎控除増額 | 手取り増額 | 給与所得控除増額 | 手取り増額 | 手取り増額合計 |
100万円 | 10万円 | 0円 | 10万円 | 0円 | 0円 |
150万円 | 10万円 | 5千円 | 10万円 | 1.5万円 | 2万円 |
200万円 | 10万円 | 5千円 | 0円 | 0円 | 0.5万円 |
500万円 | 10万円 | 1万円 | 0円 | 0円 | 1万円 |
800万円 | 10万円 | 2万円 | 0円 | 0円 | 2万円 |
1000万円 | 10万円 | 2.3万円 | 0円 | 0円 | 2.3万円 |
1500万円 | 10万円 | 3.3万円 | 0円 | 0円 | 3.3万円 |
2350万円 | 10万円 | 4万円 | 0円 | 0円 | 4万円 |
2400万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
なんとなーく影響がありそうなお給料金額を入れてみると上の表の様になっちゃいました。本来なら、扶養控除や社会保険料控除、小規模共済等掛け金控除など・・・様々な控除があり、課税所得が変わってきますので、上の表の様に単純ではないのですが・・・。
やはり、所得税が超過累進課税になっている分、2350万円まではお給料が高くなればなるほど、減税効果は高くなりそうです。
また、給与所得控除においては、最低保証額のみの引き上げとなりますので、お給料で190万円を超えてしまうと、今回の税制改正大綱の恩恵を全く受けなくなってしまいます。それに加え、基礎控除増額においては住民税据え置きですので、所得税のみの影響となりそうですね。
ちなみに100万円以下のお給料の場合は元々所得税も住民税もかかりませんので、こちらも影響がない状況です。まぁ、これを見ると・・・若干いびつな減税効果となりそうな気もします。
今回は令和7年度税制改正大綱の第2弾として103万円の壁に関する基礎控除、給与所得控除の増額について書いてみました。ちなみにこの基礎控除、給与所得控除の改定は令和7年1月分給与から開始ですって・・・。えっ・・・給与計算どーすんの?って思いますが、今年に関しては月次の給与計算は旧来のままで、年末調整で調節し、来年から月々のお給料に反映するみたいです。
まぁ、この話は今・・・もめに揉めてるからなぁ。どうなる事やら・・・。今年はこれで走って、来年また考えるのか・・・。もしくは今年は年末調整での調整ですから、12月までに何かしらのアクションがあるのか・・・。予断を許さない所です。
今回の税制改正大綱においては特定扶養控除の変更など、もうちょっとだけ、私たちの生活に大きく係るものがありますので、次回ぐらいまで、税制改正大綱について書いていこうかなぁと思います。後は何があったかなぁ。住宅ローン控除の延長なども盛り込まれていた気がします。まぁ、どっちにしても・・・最後の残り物って感じですね。
最後に今回のお話に関係ありそうなリンクを貼っておきますね。
自民党『令和7年度税制改正大綱』
国税庁『基礎控除』
国税庁『給与所得控除』
国税庁『所得税の税率』
ちなみに上の国税庁のリンクは今回の税制改正大綱の内容は反映されていませんので、ご注意です。
今回も乱筆乱文、失礼しましたっ。