あれ?お薬代上がってる?

 最近、病院行きました?私は今月入ってからはまだ行ってないのですけど・・・なにやら今月からお薬代がすこーしだけ上がっているみたいなのです。まぁ、満遍なく上がっているという訳ではなく、後発薬(ジェネリック医薬品)が存在する先発薬(長期収載品というらしいです。)のお薬代が少しだけ上がったようです。

 これにはどういう意図があるかと言うと、ジェネリック医薬品があるにも関わらず、長期収載品の薬価があまり下がらないという事もあり、医療費の高騰、ひいては健康保険制度の健全な運営を守るために、できるだけジェネリック医薬品を推奨しようと言う流れ(この流れは前からあったのですが・・・)の一環として、長期収載品を特別な事情無く選ぶ場合は、選定療養として、特別料金を払ってもらおーという事になったのです。ちなみに『選定療養』においてはコチラのブログでもちょっとだけ触れていますので、お暇な方はお立ち寄りくださいな。

ちょっとだけ上がるんじゃよ・・・入院費が。

 まぁ、私的にはジェネリック医薬品でも全然平気ですし、お薬代をお安く抑える事ができますので、全く問題ないのですが、人によっては『飲み慣れたお薬がいいっ!』と思うのも分からないではない所です。ただ、その場合においては、今までよりちょっとだけ高いお薬代を払う必要があります。

 という事で、今回はこの長期収載品が選定療養になったことによって、ジェネリック医薬品を選ばなかった場合、どの程度お薬代が上がるのか、また、選定療養にならない場合はあるのか?などを書いていきたいと思います。

①どのくらいお薬代が上がるの?
②お薬代が上がらない場合ってあるの?
③特殊な場合ってあるの?

①どのくらいお薬代が上がるの?

 今回の長期収載品が選定療養になったことによって、どのくらいお薬代は上がるのでしょうか?通常の選定療養の場合、その選定療養に指定されている部分は100%自腹で払う(それ以外の保険適用の部分は1~3割負担)事になるのですが、今回の長期収載品においてはルールが違うようです。
 で、どのようなルールになるかと言うと、長期収載品とジェネリック医薬品(ジェネリック医薬品の中で一番価格が高いものと比較します。)の価格差の1/4が長期収載品の価格に上乗せされるイメージ(正確には若干違いますが・・・)となります。

 詳しく見るための例として『長期収載品100円』、『ジェネリック医薬品60円』だった場合にどのような価格計算になるかを見てみたいと思います。

1.長期収載品とジェネリック医薬品の価格差
 これは長期収載品が100円でジェネリック医薬品が60円ですので、差額は40円ですね。そして、その1/4がお薬代に乗っかりますので、10円が乗っかる計算となります。

100円 - 60円 = 40円
40円  × 25%  = 10円


2.10円を薬価から引いて保険適用
 この10円を薬価に加えるだけなら、計算は・・・非常に楽なのですが、ちょっと違います。この10円を長期収載品の薬価から引いたうえで、保険適用します。下の計算式は保険適用で3割負担の時の場合です。

(100円 - 10円) × 30% =27円

3.選定療養分を加える
 この27円に選定療養分の10円を加える事になるのですが、選定療養は消費税が掛かりますので、選定療養分の10円には消費税が掛かり、11円となります。

27円 + 10円 × 110%(消費税) = 38円

となります。という事は・・・今回の例でのお値段の場合、今年の9月までと10月からでお薬代はこんな風に変わります(医療費負担30%の場合)。

ジェネリック医薬品 ・・・18円(60円×30%)
長期収載品(9月まで)・・・30円(100円×30%)
長期収載品(10月から)・・・38円(上記計算による)


ついでに、厚生労働省のホームページにあったイメージ画像を下に置いておきますね。って、このイメージ画像・・・ちょっとだけわかりにくいんだよなぁ。

                    厚生労働省『後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について

 と・・・このようになるのですが、この長期収載品にはリスト(←このリンク先の真ん中あたりにリストがあります。)があり、様々なお薬が記載されています。どれが何のお薬なのか・・・私にはちんぷんかんぷんなのですが、リスト上のお薬を処方してもらっている方は、対象なのかどうなのかを確認した方がいいかなぁとも思います。

②お薬代が上がらない場合ってあるの?

 では、この今年10月からの長期収載品の選定療養対応ですが、先行薬を飲み続けても割増とならない場合はあるのでしょうか?かなり限られた場合だけですが、あったりします。それは・・・

1.長期収載品とジェネリック医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異がある場合で、その患
  者の方の疾病の治療のために必要な場合。
2.その患者の方がジェネリック医薬品を使用した際に副作用があったり、長期収載品との間で治
  療効果に差異があったと判断できる場合であって、安全性の観点から必要な場合。
3.学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用している患者の方についてジェネ
  リック医薬品への切り替えを行わない事が推奨されている場合。
4.ジェネリック医薬品の剤形では飲みにくい、吸湿性によって一包化できないなどの場合(単に剤
  形の好みという理由ではだめです。この場合の判断は薬剤師さんが行う事になります。)。
5.流通等の問題で、医療機関や薬局にジェネリック医薬品が無い場合。

となっています。上記判断はお医者様や薬剤師の方が行いますので、私たちの勝手な判断で決める事はできません。まぁ、ほぼほぼ・・・ジェネリック医薬品じゃないと選定療養となり、『特別の料金』を支払う事になっちゃうのかなぁ・・・と感じます。諦めてジェネリック医薬品にしちゃうか、ちょっとだけお高いお薬代を出すか・・・するしかないような感じですね。1割弱のお薬代の増加・・・これをどう見るかになってくるのではないかと思います。

③特殊な場合ってあるの?

 特殊な場合として考えられるのは・・・あまり思いつきはしませんが・・・『公費負担で助成を受けている場合』と『生活保護の医療扶助を受けている場合』ぐらいでしょうか。

 1つ目の公費負担で治療に対する助成を受けている場合において、使用感や味などの好み(わがまま?)から長期収載品を希望した場合は・・・選定療養となります。ですので、割高なお薬代を払えば・・・希望のお薬にしてもらう事もできるのではないかと思います。
 2つ目の生活保護における『医療扶助』において治療を受ける場合はどうでしょう?まず、生活保護の医療扶助は保険診療ではないので、関係ないという事になります。そのお薬代は税金から出ていますので、もともと対象になりえません。また、医療扶助においては、基本的にジェネリック医薬品を使う様になっていますので、長期収載品を使う事はないのではないかと思われます。


 と・・・今回は先発薬(長期収載品)が選定療養の対象となり、特別の料金の上乗せが行われますので、そのことについて書いてみました。まぁ、私はすでにすべてジェネリック医薬品になっていますので、関係ないなぁと思いつつ・・・ではありますが。『どうしても先行薬がいいっ!』とか、『推しなお薬があるっ!』って方は、すこーしだけお薬代が上がる事を覚悟しておかないといけませんね。
 最後に厚生労働省の『後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について』のリンクを置いておきますね。

厚生労働省『後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について

今回も乱筆乱文、失礼しましたっ。