平等なのは良い事だけど・・・。

さて、今回もしつこく!?年金改正法案から話題を拾って行きたいと思います。今回で終了となればいいなぁ・・・。書き残したことのボリューム考えると、もう一回この話題で書きそうな気もします。
と、今回もよくわかんないタイトルではあるのですが、今回は『遺族年金の改正』、その中においても主に遺族厚生年金改正のお話を中心に書いていきたいと思います。
ご主人や奥様が亡くなる事は感情的にも悲しい事ではあるのですが、その後の生活を考えると、お金の面においても厳しい現実が待ち受ける事もあり得ます。その万が一の時の為に民間の死亡保険などもあるのですが、まず第一に考えるのは遺族年金の事ではないでしょうか。この遺族年金も残された遺族の方のお金の面における心強い味方となる制度となっています。
今回の年金改正法案においてはその遺族年金の制度においても改正が予定されており、これが施行されたら・・・万が一時のライフプランも大きく変わってくることになりそうです。特に遺族厚生年金において変更があるのですが、どのように変わる予定なのでしょうか?少しだけ書いていってみたいと思います。また、遺族年金を頂くには様々な要件があったりするのですが、今回は改正面を中心に書いていこうと思いますので、要件等省略している場合もありますので、その時はご容赦くださいね。
①現状の遺族厚生年金ってどのようになってるの?
②遺族厚生年金ってどんな風に変わるの?
③遺族基礎年金に変更はないの?
④その他、変更点はあるの?
①現状の遺族厚生年金ってどのようになってるの?
今回の改正においては主に遺族厚生年金(遺族基礎年金もすくし変更があるのですが、それは後程触れますね。)における改正となっています。
その遺族厚生年金なのですが、現在においては・・・お子様(高校卒業年度末(18歳の年度末、障害をお持ちのお子様の場合は20歳まで)を扶養されていない方においては・・・次のような感じで遺族厚生年金が給付されます。まぁ、遺族厚生年金の給付には納付要件など様々な要件があるのですが・・・それについては割愛し、今回変更となる要件以外は満たしているものとさせていただきますね。

女性の場合・・・
・30歳未満の場合 ・・・5年間の有期年金
・30歳以上の場合 ・・・亡くなるまで給付
男性の場合・・・
・55歳未満の場合 ・・・給付なし
・55歳以上の場合 ・・・亡くなるまで給付(ただし、60才からの給付)
どちらも18歳年度末まで(障害をお持ちのお子様の場合20歳まで)の扶養しているお子様がいない場合となります。お子様がいらっしゃる場合は、遺族基礎年金と共に遺族厚生年金が給付されることになります。
まぁ、これを見てみると、女性の場合は手厚い給付があるものの、男性の場合は給付機会が少ない事が分かります。今回は、『現状の働き方の変遷を踏まえ、男女平等にしてしまおう!』という改正になります。
②遺族厚生年金ってどんな風に変わるの?
では、今回の改正によって、どのように遺族厚生年金が変わるのかというと・・・次の様になります。

厚生労働省『遺族年金の見直しについて』より
改正後においては60歳未満だと・・・男女ともに!?5年間の有期年金に改正されるようです。うーむ・・・確かに男女平等ではあるのだろうけど・・・男女間のお給料の格差などを考えると、なんか釈然としない感じもしますね。
この5年間の有期給付なのですが・・・現在の遺族厚生年金の金額においては『報酬比例部分(正確には表現が違いますが保険料支払いに対する厚生年金額というイメージです。)』の3/4が遺族厚生年金として支払われる(厚生年金保険料支払い期間が300月に満たない場合は300月と見なす制度もあります。)のですが、今回の改正においては『有期給付加算』という加算が付き、約1.3倍となるようです。まぁ、これは報酬比例部分の3/4というのが、報酬比例部分丸々・・・となる感じでしょうか。
また、この遺族厚生年金はお給料が850万円(所得で考えると655.5万円)を超える方は貰えない制度だったのですが、この収入制限がなくなります。これは朗報と言えば朗報ですね。5年間の有期給付とは言え、収入要件が無くなると、頂ける人が増えそうな感じです。
これに加え、障害をお持ちであったり、所得が十分ではない方においては引き続き増額された遺族厚生年金が支給されることになっています。
気になるその所得なのですが・・・詳細は調べきれなかったのですが(すみません💦)、単身の場合で収入が月10万円程度(年間122万円)の場合、満額支給されるようです。それ以上の収入がある場合は、収入の上昇に応じて徐々に減額され、収入と遺族厚生年金を合わせたトータルが収入増加と共に徐々に増える様に設計され、月収20~30万円程度で遺族厚生年金の支給が止まるようになるようです(※遺族厚生年金の額にもよるそうです。)。
遺族厚生年金本体の話ではありませんので、ちょっとズレちゃいますが、現在は遺族厚生年金を40歳以上で受け始める方、もしくはお子様に遺族基礎年金を受けられているお子様がいらっしゃる方(実際はお子様への遺族基礎年金は停止され、お父さん、お母さんに支払われるのですけどね・・・。)方で40歳以降にお子様が18歳年度末を迎えられた方には『中高齢寡婦加算』という加算が遺族厚生年金に合わせて65歳まで支給されています。この金額は今年換算で623800円なのですが、これが徐々に減少し、最終的(施行から25年後予定みたいです。)には廃止となるようです。これにおいては、一度頂いた金額が変わってくることはなく、新たに頂ける際に、その年度によって金額が変わるようになるみたいです。かなり大きな金額ですので、この影響も大きそうですね。
そして、65歳からはどうなるのかというと・・・死亡分割という新たな制度ができるようです。これは亡くなった配偶者の方が報酬が高かった場合、その厚生年金記録を分割し、残された配偶者の厚生年金記録に上乗せする制度の様です。うーん、どんな感じになるのかな?離婚分割のような感じになるのではないかと予想されます。
これらの変更の施行日は2028年4月からとなっており、女性の5年給付はその時に40歳未満の方から始まり、1年に1歳ずつ段階的に引き上げられていく形になるようです。という事は・・・次の年は41歳未満の方が対象、その次の年は42歳未満の方となっていき、20年後に制度が完成する形になります。図で表すと次のようになるみたいです。


厚生労働省『遺族年金の見直しに対して寄せられている指摘への考え方』より
ちなみに、この新制度施行後においても、現在から変更がない方は次のような方になるとのことです。

・60歳以上で死別された方
・子ども(遺族基礎年金対象のお子様)を養育される間にある方
・改正前から遺族厚生年金を受け取っていた方
・2028年度に40才以上になる女性
うーん・・・現行でもかなーり複雑な年金制度なのですが、今回の遺族年金改正はそれに輪をかけて複雑になりそうな予感がします。理解できないまま給付を受ける方も多く出てくるのではないと危惧しちゃいますね。
③遺族基礎年金に変更はないの?
今回の遺族厚生年金の見直しに合わせて、遺族基礎年金についてもすこーしだけ変更があっています。これはどちらかというと緩和?といえる改正ですので、受け入れやすいのではないかと思います。
どのような改正かというと・・・
まず、1つ目に遺族年金に限らないのですが、高校卒業年度末までのお子様(18歳年度末まで、障害をお持ちのお子様の場合は20歳まで)には加算があるのですが・・・その金額が次のように変わります。
1人目 | 2人目 | 3人目以降 | |
現行制度 | 234,800円 | 234,800円 | 78,300円 |
改正後 | 281,700円 | 281,700円 | 281,700円 |
※金額は令和6年度基準
やっぱりお子様を養育しているとお金が掛かりますし、遺族であれ、老齢であれ、障害であれ・・・年金を頂く場面というのは割と世帯収入は落ちている状況にあるのではないかと思われます。ですので、この金額上昇はお子様を養育する年金受給中の家庭においてはかなりの助けになるのではないかと思われます。また、第3子以降の金額においても同額が支給されるように変更になるようです。まぁ、私的にはお子様が多い方が大変だと思いますし、少子高齢化が叫ばれている現在ですので、第3子以降は逆に金額を増やすような配慮があってもいいかなぁって思ったりもします。ただ、養子等で制度を悪用した利用は排除しないといけないと思いますけどね。
これに関してはもう一つ変更があっています。今までは年金に対するお子様の加算はどの制度にくっついてくるか微妙な面がありました・・・。現状においては下の図の今回創設の部分が無い状態となっており、お子様の加算が付くのは老齢年金の場合は厚生年金、障害年金・遺族年金の場合は基礎年金という様にその年金の種類によって加算が付くかどうかが変わってくるという点がありました。

内閣官房『年金制度改正について』より
そこで、今回の改正により、上の図の様に基礎年金、厚生年金どちらにおいてもお子様の加算を新設する事により、頂ける年金の種類でお子様の加算の有り無しが出ないようになります。基礎年金、厚生年金の両方とも頂ける場合は、厚生年金の方のお子様加算が優先し、基礎年金のお子様加算は停止されるようです。まぁ、これにおいては、何かしらの年金を頂いていて、他の要件を満たした場合、18歳年度末まで(障害をお持ちのお子様の場合は20歳まで)のお子様を養育されている場合は、お子様の加算が付くというすっきりとした制度設計になりそうで、いいのではないかと思います。
遺族基礎年金での変更点と書きながら、いきなり遺族基礎年金に限らない話を書いてきましたが、2つ目は純粋に遺族基礎年金のお話となります。
それは、お子様が頂く遺族基礎年金のお話なのですが、お子様が父または母と生計を同じくしても、遺族基礎年金を受け取る事ができる様になります。ん?お父さんかお母さんが亡くなった場合、遺族基礎年金は存命中の親に支給され、お子様は停止になるんじゃないの?って・・・ふつーは思いますよね。基本的にはそうなのですが、特殊な場合が存在します。下の図の様に・・・お父さん、お母さんが遺族年金の支給要件を満たさない場合におけるお子様の遺族基礎年金のお話となります。現状において、下の図のような場合は、お父さん、お母さんは遺族年金を受け取れませんし、お子様も遺族基礎年金の支給が停止されていました。しかし、今回の改正によって受け取れるように変更になります。

厚生労働省『年金制度改正法が成立しました』より
確かに上記の4つの例の場合は、収入要件があったり、離婚していたりと・・・残された配偶者の方には遺族年金を受け取る権利はありません。その配偶者の方に養育されているお子様への遺族基礎年金の支給を止めるのはなんか疑問に感じますので、これはかなりいい変更ではないかと思いますね。特に離婚が増えている現在においては、この図の3つ目の例に当てはまる場合も割とあるのではないかと思います。
④その他、変更点はあるの?
ここまでは遺族厚生年金の男女平等化を中心とした年金給付の変更点だったのですが、給付に対してはもうちょっとだけ変更点がありますので、すこーし見てみたいと思います。
まず1つ目として配偶者加給年金の減額です。
この配偶者加給年金というのは・・・条件はいろいろあるのですが、基本的には65才からの老齢厚生年金を受けている方が、65歳未満の配偶者の方を扶養している場合、支給される加算となります。まぁ、これは条件によっては65歳より前に支給が無くなる場合もあるのですが、そこは割愛しちゃいますね。
この加算は一昔前の一般的な夫婦モデル(男性が外で働き、女性は家庭を守ると言った感じ・・・。)を想定して、年下の奥様を扶養しながら年金を頂く場合は、その援助をしましょーって感じの加算となります(と言いつつ、男女逆でもこの加算は出るのですけどね。)。現代の共働きの夫婦モデル?においてはこの加給年金の支給はそぐわないという事で、この額が減額になりそうです。
その金額はと言うと・・・
408100円(令和6年度基準) → 367200円
となっています。今年はもうちょっと金額が上がって415900円となっていますので、今年度基準で行くと374200円相当となるのではないかと思われます。
まぁ、制度の趣旨としては理解できなくもないですし、女性の社会進出も進んでいますので、致し方ない部分もあると思うのですが、専業主婦の方や扶養内パートで働いている方には厳しい改正となりそうです。また、この改正は2028年4月からの予定なのですが、今回の改正の流れを考えると、今後金額縮小の方向に向かうのだろうなぁ・・・って感じがします。
2つ目はそこまで私たちの生活には関係ないかもしれませんが・・・脱退一時金の見直しです。
これは外国人の方が日本で就労して保険料を払ったにもかかわらず、老齢年金を受け取れる条件を満たさず出国された場合、一時金を支払う制度なのですが、これまでは脱退一時金の支給上限が5年だったものが、外国人の方の就労が増えたことを踏まえ、8年に延長されると共に、再入国許可付きで出国された場合、許可の有効期限内は脱退一時金が支給されないようになります。
と・・・今回は遺族厚生年金の男女平等化を中心とした、年金支給に関する改正を書いてみました。他の話も寄せ集めた結果・・・いつもひどい文章ではあるのですが、ますます取っ散らかってわけわからない文章になってしまい、申し訳ない気分です。
全体的に見た場合、男女の平等化というのが今回の年金支給に対するスタンス・・・ぶっちゃけると、女性への支給を減らすことによる平等化が目立つ内容ではないかと思われます。お子様への加算の増額や単純化など、いい改正もあるのですが、なかなか厳しいものではないかと感じます。この改正を行うのであれば、女性の就労環境の改善を早急に行い、給料格差などを無くした後に行うべきかもだなぁ・・・と思ったりもします。
最後に、今回のお話に関係するリンクを貼っておきますね。
厚生労働省『年金制度改正法が成立しました』
厚生労働省『遺族年金の見直しについて』
厚生労働省『遺族年金の見直しに対して寄せられている指摘への考え方』
内閣官房『年金制度改正について』
次回ももうちょっとだけ、今回の年金改正のお話になっちゃいそうです。今回の改正のお話のラストとなりますので、ますます寄せ集め感の高い、取っちゃらかった文章になっちゃうんだろうなぁ。
今回も乱筆乱文、失礼しましたっ。