新NISAについて③
前回、前々回と稚拙ではありますが新NISA制度自体の説明、また、その注意点を挙げさせていただきました。今回はその新NISAを活用するにあたり、私自体が考える注意点を挙げていこうと思います。私の私見が大いに含まれていますので、最悪勘違いという事も考えられます。話半分程度で考えて読んでいただけると幸いです。
①相場は居続ける事が大事?
②その金額設定で合ってる?
③資産が資産を生むところに投資する?
④売り時の方が難しい?
⑤手数料って考える?
⑥テーマ型投資信託は投資信託の寿命があるかも?
⑦バランス型投資信託は不利?
⑧じゃぁ、結局お前は新NISAで何買うの?
①相場は居続ける事が大事?
相場では失敗することが多々あります。というか・・・私の経験上失敗の連続のような気がします。ある時買った株があれよあれよという間に1/5の価格になったこともあります。結構な比率で買っていたこともあり、その値下がりのストレスはたまったものではなく、涙で枕を濡らす日々が続いたものです。ただ、それでもその後、図々しくもずっと相場に居座ったおかげで、何とかその損失はリカバリーできています。
まぁ、それは個人の失敗談としておいておいても、投資を行っているとうまく行かない時が往々にしてあります。例え積立投資で合っても、元本割れが続くと投資を続けるのが嫌になる時もあるでしょう。その時になんとか相場に踏みとどまり、投資を続けてほしいのです。もっと強い心臓がある場合は、今はいっぱい積立ができるチャンスタイムだと思っていただければいいのではないかと思います。ただ、個別株等で投資を行いたいと思っている場合は、かなり真剣に相場と向き合い、企業業績や経済状況を分析しないと、つらい目に合うことが多いと思いますので、十二分に注意しなければいけないと思います。
積立投資は淡々と、個別株投資は機を見ながら・・・それでも相場自体には居座ることをお勧めします。
②その金額設定で合ってる?
新NISAでは積立投資枠でも月10万円、成長投資枠も積立に使えば合計月30万円の積立を行うことができます。また、ボーナス月設定をうまく利用すると1月に360万円ほぼ全額(若干毎月の積立に残しておく必要がありますが・・・)。を投資することが可能です。しかしながら、これはできるというだけであり、しなければならない訳ではありません。しかし悲しいかな・・・枠いっぱい使わないともったいないとの貧乏根性が出るのもこれまた事実・・・。そうなると自分自身の余剰資金を越えた、もしくはかなり苦労して捻出しないと出せない金額を積立投資金額に設定してしまうことも考えられます。そうなると、実生活をかなり我慢しながら投資をしていく事になり、投資が苦痛になりかねません。これは①の『相場に居続ける!』に繋がるのですが、それが将来に有益とか体に良い事とかであっても、苦痛を伴うものは続きにくいものです。例えば・・・運動とかダイエットとか禁酒・禁煙とか資格取得に向けた勉強とか・・・ですので、余剰資金もしくは現状の生活の中で苦痛を感じずに削れるお金を投資に回す程度の感覚が良いのではないかと思います(それとは別に生活防衛資金で生活費の半年から1年分はキャッシュで持っておくべきではないかと思います。)
また、投資初心者の方がいきなり大きな金額を投資ししてしまうと、相場の動きが気になって仕方なくなるという現象が起こります。私もそうなんですが・・・。それで本業であるお仕事に支障をきたしたら本末転倒です。特にこの新NISAで投資を始めようという方は、少額の慣らし運転の後に、本来の設定金額に引き上げていくのがいいのではないかと思います。
大丈夫!相場は逃げませんのでっ!
③資産が資産を生むところに投資する?
新NISAの成長投資枠にはコモデティ(金や原油、小麦などの商品)へ投資するETFなども対象になっていますが、私はあまりお勧めできません。何故なら、これらの資産は資産を生まないからです。まぁ、金などの投資信託はリスクヘッジで少し持ってもいいかもしれませんが・・・。
私的には超長期で運用を行うのであれば、資産が資産を生む株式、債券がいいのではないかと思います。REIT(不動産投資信託)もギリギリアリなのではないかと思います。株式は企業の営業努力が、債券は国・企業の借金ですのでその利率が、REITは不動産から得られる収益がその原資となっており、その収益分だけ資産が複利効果で成長、もしくは分配金が支払われる事になります。その成長を享受しながら、投資を続けていくと大きく育つのではないかと考えています。
④売り時の方が難しい?
積立投資を行う場合、買う時は淡々と一定額を買い続けるだけですので、機械的に買い付けられるのですが、売る時はえいやっ!と売る必要がある場合があります。
老後資金の場合、毎年4%ずつ取り崩すとか年100万円ずつ取り崩して老後資金に充てるとか、一定のルールを定めて取り崩すことが考えられます。その場合は、淡々と機械的に取り崩しますので、大きな問題はないのですが・・・。
例えばマイホームの頭金、教育資金や結婚費用など期日の決まった、また目的を持った資金を取り崩す際は注意が必要です。取り崩す直前に基準価格を調べてみたら、値下がりしてて泣く泣く安い基準価格で取り崩さないといけない、という事も起こり得ます。ですので、まとまった資金を取り崩す時はそのライフイベント発生前1~2年程度はある程度相場をチェックし、ほどほど満足できる価格で余裕をもって取り崩すことを考えるべきです。最高値で・・・と欲が沸くところですが、どこが最高値かなんて誰にも分りません(当然、へたくそな私にはわかりませんし、投資の神様と言われるウォーレンバフェットさんでも分からないと思います。)。『頭としっぽはくれてやれっ』という投資格言が言う通り、取り崩した後に価格上昇があったら、持ってる人おめでとうぐらいの精神でいるのがいいのではないかと思います。対象のライフイベントを資金的につつがなく進める事が目標であることを忘れずに、取り崩しを行いたいものです。
⑤手数料って考える?
投資信託は3つの手数料が存在します。買う時(販売手数料)、持っている間(信託報酬)、売る時(信託財産留保額)の3つです。長期保有の場合は3つ目の信託財産留保額についてはそこまで考えなくてもいいのではないかと思いますが、それ以外の2つに関してはしっかりと確認する必要があります。アクティブファンド(ファンドマネージャーが投資対象会社を分析し、その人の采配により投資先をチョイスする投資信託)の方が手数料的に高い傾向があり、パッシブファンド(日経平均やS&P500などの指数に連動することを目標にする投資信託)の方が手数料が安い傾向にあります。これらの手数料は運用成績にボディブローのように地味に効いてきます。手数料が安い事のみで良い投資信託とは言えないことも事実ですが、特に同じ指数と連動することを目指すパッシブファンドを選ぶ場合、できるだけ手数料が安いものを選んだ方がいいのではないかと思います。アクティブファンドの場合は、その運用成績と見比べ、納得できるものを選ぶようにしましょう。
⑥テーマ型投資信託は投資信託の寿命があるかも?
投資信託には様々なテーマを扱ったものがあります。例えば・・・自動運転とかチャットGPTなどの生成AI関連とか、太陽光発電などを扱った脱炭素、SGDsに積極的な企業を集めたもの・・・などなどです。これらの投資信託はテーマがハマれば爆発的に基準価格が上昇し、魅力的なものも多いのは事実ですが、超長期でもち続ける新NISAでの購入対象としてはどうでしょうか?
私的にはこれらのテーマが10年後、20年後、30年後も同様にもてはやされているのか・・・疑問に感じます。新NISAの特に積立投資は超長期視点の運用が基本となります。いざ、出口を考えた時にこれらのテーマが陳腐化し、さえない動きをしている可能性は捨てきれません。また、これらのテーマ型の投資信託は対象テーマが盛り上がってる(バズってる?)時に組成される傾向がある為、投資信託が発売された時は対象の企業の株価がピークを付けているという事も珍しくありません。
このようなテーマ型の投資信託のいい所を適宜売買しながら利益を上げる事も考えられますが、それだけの投資眼が必要であり、私みたいな投資下手には難しい面も多々あります。それに売却を行えば、次の年には投資枠は戻ってくるとは言え、あくまでも簿価価格であり、せっかく複利効果で膨らんだ非課税資産がしぼんでしまいます。という事で、特に積立投資においてはテーマ型投資信託は相性が悪いのではないかと思います。スポット的な売買はそのテーマが未来において輝くと信じるに足るものがあるのであれば、アリかもしれないなと思います。
⑦バランス型投資信託は不利?
『卵は一つのかごに盛るな!』と言う投資格言があります。これは資産を一つのアセット(投資対象とでも考えていいと思います。株式・不動産・債券・コモデティなどなど)に投資していると、その資産が不調になった時に取り返しがつかないことになるよ?と言うものです。それを投資信託内で解決してくれるのがバランス型投資信託と言われるものです。種類としては4分法とか6分法とか8分法とかあるのですが、それらは投資信託の中身を4~8個にに分け、株式(国内・国外・新興国など)、債券(国内・国外・新興国など)、REIT(国内・国外)、コモディティなどに分割して投資する投資信託です。リバランス(高くなったアセットを売り、安くなったアセットを買ってバランスを取る事)も行ってくれます。『投資席ははアセットアロケーション(どの資産にどのように分散して投資するか)で8割は決まる。』と言われていますので、理にかなった投資を行っているのではないかとも感じます。ちなみにGPIF(年金積立金管理運用独立法人)は年金の運用を行っていますが、国内株式・債券、海外株式・債券の4分法で運用を行っています。
では、なぜバランス型投資信託に疑問符を付けるのかと言うと、これらの投資信託のいい所は、株式が調子いい時は債券が悪い傾向があり、逆に債権が調子いい時は株式が悪い傾向がある(相関関係というらしいです。また、絶対という訳ではなく、その傾向があると言うだけです。)ことから、できるだけ相場の荒波を打ち消しながら穏やかに安定した収益を目指すところで、誠に良い考えではあるのですが、積立投資には若干マイナスな面があります。それは・・・積立投資は一定金額を淡々と積み立てる事から、価格が安い時は大量に、価格が高い時は少しだけ投資信託を買うことになります。
イメージとしては・・・
100円の価格のものが50円→150円→100円と変化した場合と、100円→80円→120円→100円と変化した倍、10000円でどれだけ買えるかを考えてみると・・・
荒波 | 100円 | 50円 | 150円 | 100円 | 買付合計 |
100個 | 200個 | 66.7個 | 100個 | 467.7個 | |
さざ波 | 100円 | 80円 | 120円 | 100円 | 買付合計 |
100個 | 125個 | 83.3個 | 100個 | 408.3個 |
と、買付量の差が出てくるのです(この一定額ずつ買い付ける方法をドルコスト平均法と言います。)。ですので、買付時においてはある程度変動幅があった方がより多くの投資信託を買い付ける事ができます。ただ、悩ましいのは変動幅が大きいほうが買付量が増えるのですが、投資成績上は年間利回りが同じ場合(最終収益から利回りを出した者ではなく、年間の利回りを平均した場合・・・)、変動幅が少ないほうが良い傾向にあることです。買付量の多さを取るか精神上の安定(乱高下されると動揺します。)や利回りに対する成績を取るか悩ましい所です。
かなりチャレンジングになりますが、株式中心の投資信託と債券中心の投資信託をを別々に積立し、年末あたりに自分自身で来年の買付金額を上下させることにより、リバランスを考えるという手もあります。ただ、ある程度の投資知識が必要な事、作業がめんどくさい事もありますので、難しいかもしれません。ただ、買付量を増やしたいのであれば変動が激し目の株式中心の投資信託を、安定性と同程度の年間利回り(債券よりも株式の方が利回りが高い傾向にありますのでので難しいかもしれませんが・・・。)で投資成績が上がるものを考えるのであれば変動幅が抑えられるバランス型投資信託を・・・とぐらい考えて、自分自身の投資スタイルと合ったものを選ぶのがいいのではないかと思います。
⑧じゃぁ、結局お前は新NISAで何買うの?
ここまで長々と書いておいて・・・全くもってつまらない話ですが、私自身はeMAXIM Slim全世界株式(通称オルカン)をつみたて投資枠で月10万円積み立てようかと思います。
やめて!石投げないでっ!
まぁ、私的にも実に刺激がなくてつまんないなぁ・・・って思ってますので。
S&P500やNASDAQ100、もしくはインド株の投資信託も考えはしたのですが、いくらアメリカ経済が強いと言えども、もしくはインドの人口動態その他成長性が高いと見込めても・・・超長期ではどうなるか分からないと思うのです。その度に新しい成長性が見込めるものに乗り換えるとしても、それまで育てた複利効果を捨てるのはもったいなく感じます。それなら、パフォーマンスは落ちると考えられるものの、オルカンは全世界の株式に投資する(と言っても現状はアメリカ株式が60%もあるのですが・・・)投資信託ですので、個別はどうであれ、世界の成長を信じる事ができるならば、乗り換えの必要はなく、複利効果の恩恵を最大限受ける事ができるのではないかと考えます。まぁ、世界が壊滅的な災害に襲われるとダメではあるんですけどね。後、この投資信託はすべてを株式で運用していますので、結構なリスク(価格変動の振れ幅)があることは覚悟しておく必要があります。
成長投資枠は現在未定ではありますが、しばらくは個別株をスポット的に買って値下がりに苦しみたいと思います。
ここまで思いつくまま取っ散らかった文章で新NISAに関して思うことを書いてきましたが、最後に・・・『投資は自己責任でっ』と言う言葉がありますが、未経験の人を怖がらせるようであまり好きじゃないんだよなぁ。つまり、投資に使ったお金は自分の判断次第で減ることもあるよーという事なんだけど、アドバイスする方からしたら、お前のせいで投資資金が減ったって言われても困るからこの文章は必要なんだるなぁ。
という事で、ここらへんで話を一旦終わろうと思います。何か新しい情報や書き残したことがあれば・・・また何かしら書いたりするかもしれません。新NISAについては税制上有利な制度には間違いありませんので、程よい距離感でしっかりと活用し、ライフプランの充実に役立てていきましょう!
ここまで付き合ってくれた方、ありがとうございます!
では、投資は自己責任でっ!