子どもだって投資したーーーいっ!

 今回も前回に続き令和8年度税制改正大綱からのお話です。まぁ、子どもがほんとに投資をしたいかどうかはさて置き(私は少しでもお金が入ったら、ゲームやおもちゃ、お菓子なんかに浪費してたなぁ・・・。)、2023年に終了となったジュニアNISAの代わりともいえる制度が復活しそうですので、紹介したいと思います。とは言え、制度開始は2027年からとなっており、開始までに後1年ぐらいあるのですけどね。
 まぁ、子ども支援NISA(ほんとの名前は未成年者特定累積投資勘定と言うらしいけど、難しそうだから、子ども支援NISAと呼んじゃいますね。)と言うのですが、これがどのような制度なのか・・・ちょっと気が早いですが、確認してみたいと思います。
 ちょっと気が早いだけに、細部がまだ決まってなかったりもするのだけど、今わかってる部分だけでも、来年どう動くか・・・指針になるかもしれません。情報は随時手に入れて、修正を掛けていく感じになりそうです。また、これも前回のブログ同様、まだ国会の審議を受けたわけではありませんので、廃止はないと思うものの、細かな変更等があるかもしれませんので、注意が必要ですね。

①子ども支援NISAってどんな制度?
②ジュニアNISAとどう違うんだろう?
③しっかりと積み立てたらどんな感じになる?
④満額って・・・無理っぽくね・・・。
⑤注意事項ってあるの?

①子ども支援NISAってどんな制度?

 さて、2027年から開始予定の子ども支援NISAですが、2023年末に終了したジュニアNISAの後継として期待されています。って、ジュニアNISAはあまり流行らなかったみたいですねぇ。使い勝手の悪さもあったと思うのだけど、まだまだNISAの認知度が低く、通常のNISAならまだしも、お子様向けのNISAまで手が回らなかったのではないかなぁ・・・とも思います。とは言っても、原則お子様18歳までの引き出しペナルティがあるのは、ちょっと抵抗があったのも事実です。
 で・・・それを改良した子ども支援NISAですが、どのような制度になったのでしょうか?
次のような感じになりました。

期間     :0歳から18歳になる年の前年末まで
年間拠出限度額:60万円
総拠出限度額 :600万円
課税状況   :非課税(特定口座や一般口座の場合、利益に対して20.15%)
途中引き出し :一定条件下で可(年度末で12歳未満と12歳以上で差があります。)
ペナルティ  :上記途中引き出しのルールに従わなかった場合、課税されます。

 まぁ、文章で表してみるとこんな感じです。年間60万円まで、トータル600万円まで使える未成年のお子様専用の非課税積み立て枠っと言った感じですね。毎年満額積み立てを行うと、10年間で総拠出金額に達する計算です。まぁ、感覚としては現状のNISA制度の積み立て投資枠のみを年間拠出額は違うものの、使える・・・って感じかなぁ。
 基本は大学受験を控えた高校卒業の前年末から引き出しペナルティなしで引き出しが可能なのですが、お子様の同意を得る事を条件として、12歳未満の場合は『住居が災害等で全壊した場合や同等の理由』、12才以上の場合は『入学金、授業料、その他お子様の教育費や生活費の支払い』が理由の場合はペナルティなしで引き出すことが可能となっています。
 まぁ、12歳未満の方は税務署の確認等も必要ですので、引き出した場合はほぼペナルティを受ける事になるのではないかなぁと思われます(震災被害等を受けた場合は別だと思いますけど・・・。)。また、12歳以降の引き出しにおいては、想定では中学受験などに対応することを考えているのではないかなぁと思われます。お受験にはお金が掛かりますからねぇ・・・。
 と、若干柔軟な対応ができる子ども支援NISAなのですが、ジュニアNISAはどうだったのでしょう。

②ジュニアNISAとどう違うんだろう?

 こうやって見ると2023年に終了したジュニアNISAとさほど変わらない感じがするのですが、実際、どの程度違うのでしょう。表を使って見てみたいと思います。

子ども支援NISAジュニアNISA
年間拠出額60万円80万円
総拠出額600万円400万円
非課税期間無制限※15年間
投資対象公募株式投資信託
上場株式投資信託等
上場株式
投資信託等
払い出し制限期間基本年度末において18歳である前年末※2年度末において18歳である前年末

       ※1)18歳以後は通常のNISA(積立投資枠)へ移行されます。
       ※2)12歳未満はともかく、12歳以降はお子様の同意を示した書類を提出する事により、非課税での払い出しが可能。

 うーん、こうやって見ると結構違いがあるなぁ。年間拠出額や総拠出額もそうですけど、ジュニアNISAは5年間でロールオーバーするか売却するか決めないといけなかったのが無期限になった事、一定条件下(12歳で条件は大きく変わりますが・・・。)においては子ども支援NISAでは非課税で引き出しができる様になった事が大きなメリットですね。

 そして、投資の感覚的には上場している個別株式自体への投資が無くなった事、期間が無期限になった事により、普通の投資(スポット的な投資)から積立投資専用に変った感じですね。ジュニアNISAは5年という縛りはあるものの、投資商品の範囲は広く、純粋に投資という感じだったものが、子ども支援NISAに変り、積み立て特化になったという事ですね。
 その投資対象ですが、まだ発表にはなっていないものの、一般NISAの積み立て投資枠に近いものになりそうです。若干の追加として、新しいインデックスが採用されたり、より安定した運用が期待される債券型投資信託が採用されるようになるみたいですが、これは今後の発表待ちになりそうですね。

③しっかりと積み立てたらどんな感じになる?

 取らぬ狸の皮算用が大好きなFPとして、この子ども支援NISAにしっかりと拠出した場合、高校卒業時にはどの程度の運用益が出るのか見てみたいと思います。
 どんな感じでシミュレーションしてみるかというと、月々の積立金額と年利回りで表を作ってみたいと思います。一応、限度額までは積立し、18年後にいくらになるかを考えて見たいと思います。18年より前に満額になっっちゃった場合は、そこからは積立を停止し、そのまま満額を運用した場合となります。

積立金額元本計利回り
1%3%5%7%9%
1万円216万円236万円285万円345万円421万円516万円
2万円432万円473万円570万円691万円842万円1031万円
3万円600万円656万円802万円999万円1232万円1543万円
4万円600万円676万円858万円1092万円1395万円1787万円
5万円600万円683万円885万円1147万円1486万円1929万円

※万円未満は四捨五入しています。

こんな風になっちゃいました。
 若干分かりにくいので、運用益がどの程度になるかの差を次の表でまとめてみました。まぁ、評価額から元本を引いただけなのですけどね・・・。

積立金額元本計利回り
1%3%5%7%9%
1万円216万円+20万円+69万円+129万円+205万円+300万円
2万円432万円+41万円+138万円+259万円+410万円+599万円
3万円600万円+56万円+202万円+399万円+632万円+943万円
4万円600万円+76万円+258万円+492万円+795万円+1118万円
5万円600万円+83万円+285万円+547万円+886万円+1329万円

※万円未満は四捨五入しています。

 まぁ、取らぬ狸のなんとやら・・・とFPが好きな試算表を作ってみました。グラフとか作ったら・・・一直線(600万円という限度額があるので、途中で緩やかになるのだけど・・・。)に増えていくグラフができるのだろうなぁ。でも、注意点として、リスク資産に投資をする場合、一直線に資産が増える事なんて絶対!?は言い過ぎかもしれませんが、まずありえません。上がったり下がったりしながら、最終的に表の様な資産具合になるという感じ(それも、本当に上記利回りが得られるかもわからない所ですが・・・。投資は期待値であって、結果が約束されたものではないからなぁ・・・。)になります。

 また、今回の子ども支援NISAにおいては、毎月の積立額が増えると、総投資額の限度額に引っかかっちゃいますので(毎月3万円積立の場合は16年6か月、4万円の場合は12年6か月、年限度額の5万円の場合は10年)、その後は投資した資産を持ちっぱなしの状況となります。
 ですので、限界値に達した後は、新たな資金流入が無い事もあり、資産の上昇額は緩やかになる傾向にあります(表の青色の部分)。それを考慮に入れつつ、毎月の積立額を考えると、効率的かもしれませんね。多くの額を毎月積み立てるという事は、現在の生活のゆとりを切り取る事ですので、今のゆとりと将来の学費のバランスを考える必要があるかもしれません。もちろん、年間限度額の5万円を積み立てた方が、資金増加の可能性は上がりますので、否定するものではないのですけど、まぁ、この子ども支援NISA途中引き出しにペナルティが付く関係上、親御さん(ご自身)の積立枠に余裕がある場合は、そちらで運用した方が資金の自由度が増すのではないかと思います。


 ちなみに、この子ども支援NISAの活用は学費がメインとなりそうですので、学費がどの程度かかるのかも見てみたいと思います。むかーしのブログ(新NISAの出口戦略どうしよ?)で調べたものを引っ張り出して、どの程度、大学における学費が掛かるのかを見てみたいと思います。

国公立大学私立文系私立理系
入学年度170.8万円233.8万円272.0万円
2~4年目103.6万円152.0万円183.2万円
合計481.6万円689.8万円821.6万円

                                      日本政策金融公庫『教育負担の実態調査結果』より

 この調査が令和5年に行われたものとなっており・・・今が令和8年である事、そして、来年から子ども支援NISAが始まるので・・・今年生まれたお子様が18歳になる時にはこの調査が行われてから約20年後(ほんとは21年ですが、キリがいいので20年にしちゃいます。)・・・インフレが激しい昨今、年2%のインフレが起こると仮定すると、上記表の数値は20年後にはこんな風に変わっちゃいます。

国公立大学私立文系私立理系
入学年度253.8万円347.4万円404.2万円
2~4年目153.9万円225.9万円272.2万円
合計715.5万円1025.1万円1220.8万円

                                               インフレ率2%時の大学費用

 うわっ・・・。1.5倍程度になっちゃった・・・。
 インフレ考慮前の数値だと、多少子ども支援NISAで積み立てていれば、大学費用なんてらくしょーじゃない?って思っていましたが・・・インフレにより毎年2%学費が上昇していくと仮定した場合、大学4年間で掛かる費用も跳ね上がっちゃいました・・・。
恐るべし・・・複利の力・・・。
 という事で、まぁ、お子様が生まれた時に大学の進路なんて全く分からないものだけど、仮に3%程度の期待値の投資信託(多分、債券を若干混ぜた投資信託になるんじゃないかなぁ。)で運用を行った場合、毎月3万円の積み立てで国公立大学の費用が賄える計算となります。
 私立系となると・・・3%の利回りでは追いつかない状況です。という事は、株式の比率を高めた(よりリスクを取った)5%以上の運用利回りが見込める投資信託で運用するか、親御さんのNISAで足りない分を積み立てするかしないと、私立系の大学費用は賄えない状況となりそうです。まぁ、学費が2%のインフレになれば・・・のお話ですが・・・。

 この子ども支援NISA活用において、私のお勧めとしては『新NISAの出口戦略ってどうしよ?』で書いた様なリスク資産と無リスク資産を組み合わせたハイブリッド戦略がいいんじゃないかなぁと思います。例えば、子ども支援NISAで割と高い想定利回りの投資信託を毎月3万円積み立てて、今は利率も上がってきた個人向け国債を毎月1万円ずつ購入し、その合わせたものを学費資金に充てると言った感じです。そうすれば、相場が悪い(投資信託の評価額が低い)場合は、個人向け国債原資のお金で大学費用を賄い、相場が良い(投資信託の評価額が高い)場合は、投資信託を売却して大学費用を賄うという感じにできますので、状況によりベターな選択ができると思います。
 ちなみに上記大学費用には親御さんと離れて暮らす場合の仕送り費用は含まれていませんので、東京等、遠くの大学に進学される場合は、更なる出費がある事を覚悟する必要があります💦

④満額って・・・無理っぽくね・・・?

 と・・・今回、新設予定の子ども支援NISAのお話をしてきましたが、これに親御さんのNISAもある事を考えると・・・これらを満額埋めるって・・・かなり・・・もといとても裕福な家庭じゃないとできないのではないかと思われます。親御さんの新NISAにおいては積立枠・成長枠のどちらも毎月満額積み立てた場合、積立枠で毎月10万円、成長枠で毎月20万円積み立てる事ができます。これを両親分だから・・・掛ける2で、お子様の数掛ける5万円・・・という事は、お子様が2人いる場合・・・

30万円(親御さんの分) × 2 + 5万円(お子様の分) ×2 = 70万円

が、満額をNISA関連に投資した場合の投資額になります。これにiDeCoなんかにも拠出したりすると・・・この頃(2027年から額があがります。)は会社員の方のiDeCo拠出限度額は月が6.2万円になっているから・・・これも夫婦で加入すると月額80万円を超える金額になっちゃいます💦

だれがこんな金額だせるかーーーーいっ!

という金額になっちゃいます。ですので、この税制優遇制度であるNISAやiDeCoにおいては限度額を気にすることなく、無理のない範囲で行うことを強くお勧めします。まぁ、無理なく満額出せる方は構いませんが・・・。
 この優遇制度をめいいっぱい利用する為に、今の生活がストレスマックスとなっては元も子もありませんっ。無理せず楽しみながら投資するのが一番ですっ。

⑤注意事項ってあるの?

 注意事項と言うか、まぁ、このブログの最初の所でも書いたのですが、ジュニアNISAよりも多少使い勝手が良くはなっているものの、12歳までの引き出しには原則ペナルティがあり、12才以上であっても、お子様の同意書など、一定の手続きを行わないと引き出しペナルティが付くのは注意点かなぁ。とは言え、強制的に大学費用等(中学費用とか高校費用とかかもしれませんが・・・。)を貯蓄できる事は貯金が下手な方にとってはいい事ではないかなぁとも思います。いざっ、お子様が進学っ!という時にあたふたしない為にも、引き出し制限を制限と思わずに利用し、活用していくのがいいのではないかと思います。
 また、引き出し制限(まぁ、税金を支払えば引き出しはできるのですけど・・・。)がある子ども支援NISAですので、余裕資金をこれのみに振り分けるのは・・・急にまとまったお金が必要になった時に、余分な税金を払いながら泣く泣く引き出すことになりかねません。親御さんのNISA口座とバランスを取りながら、いざという時に取り崩すお金と学費資金を切り分けた運用を行うことが良いのではないかと思います。

 また、これはちょっとうがった見方で、考えすぎな感じがするのですが・・・子ども支援NISAの原資においては、ご両親のお給料もしくはおじいちゃん、おばあちゃんからの贈与になるのではないかと思います。年間60万円の贈与は暦年贈与であっても、税金は掛からないのですが、定期贈与(例えば、毎年100万円を10年間贈与すると言った贈与契約)と見られないような贈与の仕方を行う必要がありそうです。多分、大丈夫だと思いますが、税務署さんの判断になると思いますし、すこーし贈与の仕方を工夫した方が安心じゃないかなぁとも思います。まぁ、私の見方がひねくれているだけだと思いますけどね・・・w

 注意点の最後に、やはり子ども支援NISAとは言え、投資です。投資に絶対はありませんっ!私達FPは『年利○○%でぇ・・・○○年運用すればいくらになりますよっ!』ってすぐ言いたがるのですが、その通りになる事はまずないと思います。特にお子様の学費となると、決まった時期に必ず必要になります。学費を子ども支援NISA一本で用意するのは危険ではないかと思いますので、若干り期待利回りは落ちても、上で書いた様なハイブリッド型で用意するのがいいのではないかと思います。まぁ、株式中心の投資信託は期待利回りが高いので、全く利用しないのもどうかとは思うのですけどね。バランスを取っていきましょー。

 あっ、最後と書いておきながらもう一つ・・・これは余計なお世話なのですが・・・。
 この子ども支援NISAを機にお子様に金融教育をっ・・・と言われる方が多くいらっしゃいます。確かにお子様への金融教育は必要ですし、私も賛成です。ですが、順を追って金融教育を行わないと、利殖に長けただけの大人に育ってしまう感じがして、ちょっと怖く感じてもいます。
 私的にはお金の教育の順番としては、『稼ぐ力 ⇒ 守る力 ⇒ 増やす力』の順ではないかと思いますので(まぁ、これに関しての考え方は人それぞれだとは思いますが・・・。)、まずはお手伝いなどで、お金を稼ぐためには労働する必要があるんだという事、そしてその稼いだお金は浪費や詐欺などから守らないといけない事、その上で、守ったお金を健全な経済の中に置いておけば増やすことが可能である事・・・この順番で教えていくのがいいのではないかなぁと思います。


 最後はなんか説教くさい話になりましたが、来年から始まる子ども支援NISAはお子様の学費を賄うのに非常にいい制度(途中引き出しペナルティも含め)だと思います。親御さんのNISAやiDeCoと税優遇制度はたくさんあり、当然・・・当然ですよね?・・・そのすべてを使い切る事は難しいと思いますが、そのすべての限度枠を使わなければいけない訳でも、どれか1つだけを選んで行わなくてはならない訳でもありません。ご自身のライフスタイルのあった制度をチョイスし、又はバランスを考え、利用用途を考慮した運用を行い、充実した運用ライフを送っていきましょう!

 最後に、今回のお話に関係ありそうなリンクを貼っておきますね。

総務省『令和8年度税制改正の大綱
金融庁『
NISAを知る:NISA特設ウェブサイト
iDeCo公式サイト
日本政策金融公庫『
教育負担の実態調査結果
過去ブログ『
新NISAの出口戦略どうしよ?


今回も乱筆乱文、失礼しましたっ。